「寝ても疲れが取れない」「最近、肌がカサつく」――そんな秋の不調は、“肺”の弱りが関係しているかもしれません。
整体や鍼灸の技法を自分でおこなう「自力整体」は、今、全国で約1万5000人が実践する人気のメソッド。
「ぐっすり眠れるようになった!」「慢性痛が消えた!」といった声が後を絶ちません。
新刊『すっきり自力整体』では、老廃物を流し、痛みや不調を根本からリセットする方法を紹介。
著者の矢上真理恵さんは「体の“めぐり”を整えれば、肌もうるおいを取り戻す」と語ります。
自身も、自力整体で体調を立て直し、40代目前で自然妊娠・安産を経験したひとりです。
本稿では、その新刊から、肌のうるおいを取り戻すワークを抜粋してお届けします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

【整体プロが指南】カサカサ肌を一瞬でうるおす「たった1つの習慣」

呼吸が浅いと、肌も乾く

 夏の間、クーラーの中で汗をかかずに過ごした人は、体のめぐりが滞っていることも多く、秋こそ「内からうるおすケア」が大切です。

 東洋医学では、秋に影響を受けやすい臓器は“肺”といわれています
 肺は呼吸だけでなく、皮膚や鼻、毛とつながる“臓”とされます。つまり、うるおい肌を保つカギは「呼吸」なのです。

 約2000年前の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には「秋は志を安らかにし、神気を内に収める」とあります。
 外へ向かっていたエネルギーを内側に戻し、心身を静かに整える。まさに秋は“うるおいを蓄える季節”です。

 ところが現代人は、スマホやPCで背中が丸まり、呼吸が浅くなりがち。浅い呼吸では肺が乾き、熱がこもります
 その結果、せき・のどの痛み・便秘、そして肌の乾燥やくすみが起こりやすくなるのです。

呼吸で“めぐり”を整えれば、肌はよみがえる

 肌を内側からうるおすために、まずは「吐く」呼吸を意識しましょう。
 おすすめは「4・4・8呼吸」

 4秒吸って、4秒止め、8秒かけてゆっくり吐く
 吐く息を長くすることで副交感神経が働き、全身がリラックス。血液と酸素が行き届き、肌のトーンまで変わります。

 食養生では、大根やれんこんなどの根菜を取り入れて
 体をやさしく潤し、熱のこもった肺を冷ましてくれます。

「肺経」を整えるワークで、肌をうるおす

 肌のうるおいを取り戻すには、「肺経(はいけい)」と呼ばれる経絡の滞りを整えることも大切です(図は後半で紹介)。
 経絡とは気血の通り道。

 おすすめは、書籍『すっきり自力整体』でも紹介されている肺経刺激のワーク
 たった数分で呼吸が深くなり、血流が変わるのを感じるはずです。

肌のうるおいを取り戻す!「肺活量を増やす」ワーク

 画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すっきり自力整体』より抜粋)。

【整体プロが指南】カサカサ肌を一瞬でうるおす「たった1つの習慣」
【整体プロが指南】カサカサ肌を一瞬でうるおす「たった1つの習慣」
【整体プロが指南】カサカサ肌を一瞬でうるおす「たった1つの習慣」

 ◎「肺活量を増やす」ワーク

【手順1】
 ◆深呼吸をしながら肺経のツボ「魚際(ぎょさい)」周辺を指圧(両手をおこなう)

 ※魚際(肺経):手のひら側、親指の付け根の下のふくらみ
 POINT:甲側から4本指をぐっと深く差し込む。腕はまっすぐ伸ばし、手を上下にゆすりながら、ツボを押す

【手順2】
 ◆次に、タオルを両手首に巻き付け、ひざを曲げながら腕をぐーっと伸ばす

 POINT:肩甲骨の広がりを感じながらおこなう

【手順3】
 ◆次に、タオルの両端をつかみ、ぐーっと頭の後ろへ。腕はなるべく後ろへ引く

【手順4】
 ◆次に、タオルを腰の位置におろし、腕を伸ばし、胸をぐーっと広げる

 POINT:肩甲骨をぐーっと寄せる

 時間に余裕のある方は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」も役立ちます。

『すっきり自力整体』では、このほかにも整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。

矢上 真理恵(やがみ・まりえ)
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。