読みは外れても「割安性」で勝利した銘柄

橋梁・鉄骨事業を展開する瀧上工業は、その資産価値を高く評価していた。さらに「ここ1年の間にMBO(経営陣が参加する買収)もあるんじゃないか」と思って買った。

MBOというのは、経営陣が自社の株式や事業部門を買収し、経営権を取得すること。MBOが発表されると、通常は現在の株価に「プレミアム」と呼ばれる“上乗せ価格”がつけられて買われることが多いため、株価が上がる。

けれど、結局のところ10年保有していたのだが、MBOは実行されなかった。読みは外れたけれど、それでも資産的に割安であることなどが評価され、3倍近く上がったところで売却することができた。

ライバルが少ない強みを持つ銘柄

三精テクノロジーズは、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)にもアトラクションを提供する、機械・設備の製作から保守までを一気通貫で請負う会社だ。遊戯機械の領域では、世界でもトップクラスのシェアを誇っている。

このようにライバルが少ない企業は、価格競争にも巻き込まれないから強い。

TOBで結実した銘柄への投資

1954年に設立されたシーキューブは、通信工事会社としての強みを生かし、2010年ごろから事業の多角化を進めた。最終的には、2018年に協和エクシオ(現 エクシオグループ:1951)との株式交換によるTOB(株式公開買い付け)が成立し、そこで株価が上昇したところで売却した。

TOBとは、企業の買収や合併、子会社化などをする経営手法だ。

コロナショック――資産急減と「買い場」の確信

2020年初頭、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に株価が急落した「コロナショック」のときには、「これは買いどきだ」と神戸製鋼所(5406)、INPEX(1605)、石油関連株などを買いあさった。

このときには一時、資産11億円から8億円ほどに急減したけれど、これらの株が順調に戻ってくれたおかげで、一時の損失分を上回る利益をゲットした。

やはり暴落時は買い場なのだ。

※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。