『ばけばけ』第28回より 写真提供:NHK
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第28回(2025年11月5日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
ヘブン先生は士族の娘を所望している
錦織(吉沢亮)が夜分に松野家に訪ねて来た。
彼がトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)に女中になってほしいと頼む。
「なして私が」
「もう君しかいないんだ」
なみ(さとうほなみ)はどうなったのか。
百姓の娘はNGだった。
「いいお友達でいましょう」「ごめんなさい」とヘブン(トミー・バストウ)は断ってしまった。
士族の娘がいいそうだ。理由は武家としてのたしなみを身に着けているから。それに侍へのあこがれもある。
これって差別ではないのか。ヘブン、意外と差別主義者だった? 百姓の娘で苦労した話を聞いているときの表情は慈しみ深い人物に見えた気がしたのに。釈然としない。
トキは給金20円に少し心引かれるが……。比較対象としてウメ(野内まる)の給金は90銭。
でも、単なる女中と、それだけ給金が違うということは、それだけ責務が重いということは明白。
トキ「そげな話」
錦織「そう思ってもらって構わない」
錦織に松野家の家族にも悪い話ではないと言われ、「ばかにせんでごしなさい」とトキは憤慨する。
しじみの身のない汁しか飲めない生活だけれど、武士は食わねど高楊枝(ようじ)。トキはやはり武家の娘なのかもしれない。
いや、ヘブンが、お金目当てでほいほい女中になるような人物を好まないというわけではないと思うが……。







