日本で利用できる、有効なクマ対策アプリ「BowBear」

 日本でもクマよけアプリがいくつかリリースされているが、そのほとんどがクマ鈴の代わりに鈴音や雷鳴などの音を鳴らすものだったり、アプリ内課金しないとマップ利用ができなかったりする。その中で、音を発生させるだけでなく、地方自治体の公式クマ出没情報とユーザーによる目撃投稿情報をマップ上に表示できるのが、「BowBear」(iOS版Android版)というモバイルアプリだ。筆者が調べた限りでは、地方自治体の公式情報とユーザーの目撃情報の両方をマップ表示でき、完全無料で利用できるのはこれだけだった。

「クマとの遭遇」は東京や大阪でも!命を守る“クマよけ”無料スマホアプリと最新AI&ドローン対策国産の「BowBear」アプリ。実際に畑の被害低減に効果があった猟犬の咆哮サウンドの再生に加えて、自治体およびユーザーからの目撃情報に基づく熊出没スポットを確認できる

 さらに、クマ出没スポットの表示スタイルも、自治体の公式情報は赤、自分の投稿情報は黄色の「マイスポット」、そして他のユーザーによる投稿情報は同じく黄色だが「未確認スポット」として区別できる点が秀逸だ。

 実際にBowBearを自分のiPhoneにインストールして起動すると、米国ポートランド市のマップが表示されたのには少々驚いたが、これは、海外の公的機関の情報には対応していないもののユーザー投稿が可能なため、わずかながら同市やロシアでの目撃例も掲載されていたからのようだ。

「クマとの遭遇」は東京や大阪でも!命を守る“クマよけ”無料スマホアプリと最新AI&ドローン対策BowBearアプリのマップ表示画面。各地のクマ出没状況が一目でわかる

 アプリ内の説明によると、開発元企業の代表の祖父が北海道で猟師をされていたそうで、数年前に猟師を引退したときに、クマが人や農作物を襲う問題解決に取り組んでいたとのこと。しかし製品化の道半ばで脳梗塞により他界してしまい、その遺志をついで完成させたものがBowBearなのだそうだ。収録されている音は実際に狩りをしているときの銃声と猟犬の咆哮であり、開発中にこの音源を畑などで流したところ、被害がかなり減少したという実績に基づいて採用されている。

 もちろん、開発元も注意しているように、このアプリがあればクマとの遭遇を完全に防げるということではない。それでも、少なくともその危険性をかなり減らせると思われるので、不安のある方はぜひともインストールして活用していただきたい。筆者はクマの出没地域には住んでいないものの、旅先で遭遇しないとも限らないので、インストールして備えだけは行っている。