(2)土地の荒廃
無縁墓は、草むしりや剪定などの管理がされていないところも多く、雑草や樹木が生い茂り、地盤沈下や墓石・ブロック塀の倒壊といった危険が生じることもあります。
(3)大規模災害による被災
無縁墓は地震対策がなされていない古いお墓であることも多く、地震や台風、集中豪雨などの大規模災害によって被災する危険性が高いです。墓石が倒壊した場合、通常はお墓の名義人が修繕を行いますが、無縁墓の場合はそのまま長期間放置されるケースも少なくありません。
(4)不法投棄の発生
荒廃が進んだ無縁墓の周辺では、不法投棄が確認されています。この状態になると、墓地として元の状態に戻すには、さらに多くの費用と時間がかかります。
「墓じまいをやってよかった」
多数の経験者の意見
こうした問題を受けて、1999年5月には「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」が改正され、改葬手続の簡素化が行われました。これにより、都市部の公営墓地や全国の民間霊園では、無縁墓の撤去と土地の再貸付けが促進されています。
『墓じまい 何をすればいいのか、教えてください!』 (吉川美津子、WAVE出版)
しかし、2023年に総務省が発表した「墓地行政に関する調査」結果によると、東京都特別区を除いた全国市町村が管理する公営墓地のうち、約6割の自治体が「無縁墓がある」と回答しており、問題は解決していない様子がうかがえます。
先に紹介した厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、2023年度は16万6886件の改葬件数に対して、無縁墓に関する改葬は、わずか3651件にとどまっており、対応の難しさが数字からも見て取れます。
2009年に「終活」という言葉が生まれて以降、自分の最期や死後について考える人が増え、葬儀やお墓への関心も高まっています。とはいえ、墓じまいや改葬は、身の周りのものを整理するような個人の終活とは異なり、家族単位で進める大きな決断です。代々受け継がれてきたお墓を、自分の代で閉じるというのは、人生の大きな節目といえるでしょう。時間も労力も費用もかかりますが、「跡継ぎがいない」「独身で自分の死後が心配」といった悩みを抱える方にとって、墓じまいは、将来への不安を軽くする、前向きな選択肢となり得ます。
実際に墓じまいを経験した人を対象にしたアンケートでは、「やってよかった」という意見が多く寄せられています。
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自宅近くの墓地へ改葬すれば、墓参りの負担が軽くなり、承継の必要がない合葬墓を選べば、管理に関する心理的・経済的な負担も軽減されます。
今後の管理が難しいと感じたら、「無縁にするのではなく、別のかたちで有縁にするためにどうするか」を考えます。墓じまいは、その手段のひとつとして検討してもよいかもしれません。







