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息子が性犯罪で逮捕されたとき、母と父の受け止め方はしばしば異なる。母は罪の意識や悲しみに沈み、父は現実を整理しきれず戸惑うこともある。加害者家族の支援現場では、こうした父母それぞれの感じ方に寄り添う支援が行われている。複雑な思いを抱える、加害者家族支援の内面に迫る。※本稿は、斉藤章佳『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
性犯罪を軽く捉える父と
激しく拒絶する母
家族会を立ち上げた当初は、加害者家族が一堂に会してプログラムを受講していましたが、現在は「母親の会」「父親の会」「妻の会」と、家族役割に配慮したグループ分けを行っています。この背景にはいくつかの理由があります。
まず挙げられるのが、性差による加害行為の捉え方の違いです。
多くの場合、息子が性加害をしたと知った父親は、「男は性欲が溜まるものだからムラムラするのはしかたないけど、さすがに性犯罪は許されない」「痴漢なんかする前に風俗にでも行っておけばよかったのに…」など、犯罪行為自体は咎めつつも、加害行為にはどこか共感的で、「男の性欲の制御は困難」という性欲原因論に根ざした捉え方をする傾向があります。
一方で、母親は被害者と同じ女性であることもあり、「なぜそんなひどいことをしたのか!」「息子のやったことが心底信じられない」という拒否的な捉え方をする傾向があります。
また、母親自身もかつて痴漢やレイプなど性暴力の被害に遭っていたというケースもあります。







