このような「有害な男らしさ」は、ときに過労死に至るまでの長時間労働に直結します。そして、男性のワーカホリックを支えるのが、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業の価値観です。
『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』(斉藤章佳、朝日新聞出版)
女性が家事や子育て、介護などのケア労働を一手に引き受けるので、男性は職場での業務に没頭できるわけです。これは女性のケア労働に支えられた男性の経済活動といえます。
そのため、いざ子どもが性加害をしてしまったとき、「子育てはすべて妻に任せていた。ずっと仕事をしていた自分は息子の性犯罪とは関係がない」「お前の育て方が悪かったんじゃないか」と、母親を責めるような言い方をする父親もいます。
そういった意味では、加害者である息子も、その家族である父親も、「男らしさ」に過剰適応し、ともに生きづらさを抱えている存在だといえます。







