神経がたかぶってしまう日は
「水出し緑茶」がお勧め

 一方で興奮するような出来事があって、神経がたかぶってしまう日は、「水出し緑茶」がお勧めだ。

 お茶を研究して60年近く、「お茶博士」として著名な大妻女子大学名誉教授の大森正司氏が作り方を述べつつ、その効果を説明してくれた。

「まず緑茶の茶葉をティースプーン1杯、急須に入れます。ここに常温の水を100ミリリットル程度、注ぎましょう。そして待つこと15~30分。これでリラックスやストレス軽減効果がある水出し緑茶の出来上がりです。緑茶は水で入れると、覚醒作用のあるカフェインが抽出されず、うまみ成分のアミノ酸が豊富に含まれるお茶になるのです」

 緑茶には20種類ほどのアミノ酸が含まれるが、このうち約半分を占めるのがテアニンだ。近年の研究でテアニンを摂取して脳波を測定すると、摂取後40分以降にリラックスしているときに出現するα波(脳波)が増えることが報告されている。

 実際に水出し緑茶を試してみると、深みがあるのにスッキリした味わいで、何だかほっとする。私は夜遅くまで取材があった日、帰ってすぐに水出し緑茶をセットし、入浴など済ませてから就寝前にいただく。心が落ち着くのか、確かに寝つきやすいように思う。自宅に茶葉がある人は、ぜひ試してほしい。

朝の飲みものが
夜の睡眠に影響する

 さて「白湯」と「水出し緑茶」は、どちらも就寝前に飲むものだ。しかし熟睡できるポイントは、“朝の飲みもの”にある。

“眠りのホルモン”といわれるメラトニンが分泌されると、体は睡眠に適した状態になる。夜にメラトニンを分泌させるポイントは、日中に幸せホルモンといわれる「セロトニン」を増やすこと。セロトニンがメラトニンの材料となるためだ。再び望月氏が解説する。

「セロトニンを増やすには朝に日光を浴びることと、セロトニンの材料となるトリプトファンを食事から摂取することです。トリプトファンはアミノ酸の一種。朝にこれを摂取すると、セロトニンが増え、トリプトファン摂取からおよそ15時間後にセロトニンがメラトニンになって自然な睡眠状態に入れるとされています」