ドラッカーは「人をつなぐ学び」
――吉田さんご自身は、ドラッカーにどんな魅力を感じていますか?
著書を書くほどドラッカーに惹かれたきっかけや、個人的に心に残っているエピソードがあれば教えてください。
吉田:魅力はたくさんありますね。
ドラッカーのマネジメントを実践している先輩たちの背中がとても輝かしく感じられたのがきっかけです。彼らを追いかけるように、夢中でドラッカーの本を集めてきました。
私の自宅には、ダイヤモンド社発行の『ドラッカー・エターナル・コレクション』の赤い本をはじめ、さまざまな関連本が本棚にずらりと並んでいます。書棚の前に立ってそれらを開くときは、なにかときめくような気持ちになります。
ドラッカーの本には、読むたびに新しい発見があります。同じページを開いても、そのときの自分の立場や状況によって、まったく違う意味が見えてくるのです。
その奥行きと広がりこそ、ドラッカーの魅力だと思います。きっとマネジメントの道具箱としての網羅性と、その文章の美しさや気品がもたらす世界観ではないかと思います。
また、ドラッカーを学ぶ場には、いつも個性豊かで知的好奇心にあふれた人たちが集まってきます。
経営者、教師、公務員、主婦、学生――分野は違っても、みんな「よりよく生きること」を真剣に考えている。
そうした出会いの場を通して、ドラッカーが“人をつなぐ学び”であることを実感してきました。
読む人の数だけ魅力がある
あるとき、読書会におどおどした様子で参加していた女性がいました。彼女は自分の強みに気づけず、自信を失っていたのです。
けれど回を重ねるうちに、ドラッカーの言葉を通して「自分のワークスタイル」に気づき、次に会ったときには、いきいきとした表情で実践の報告をしてくれました。その瞬間、ドラッカーの思想が“本の中の情報”ではなく、
“人を生かす現場の知識”として息づいていることを感じ、心からうれしくなりました。
ドラッカーの魅力は、きっと読む人の数だけ存在します。
けれど根底に流れているのはいつも、「人間への深い信頼」だと思います。
読む側にもその信頼が増していくのを感じることで、ときめきや可能性を感じずにはいられないのではないでしょうか。








