なぜ日本に来たのか?答えは一言「子どもの将来のため」だという。
「最近の息子たちの学校教育や教科書を見ると、愛国教育があまりにも強まり、政治的なプロパガンダのウエートが年々大きくなっていると感じる。子どもたちが洗脳されていくことを恐れ、何とかしないといけないという危機感を覚えた」と話す。
日本に来たこともなく、
日本語も話せないのに日本に来た理由
一家はこれまで一度も日本を訪れたことがなく、全員日本語が話せない。「これまで日本とはまったく縁がなかった」と、劉さんはいう。それなのに、なぜ、日本を選んだのか。
「ずっと日本には興味があった。何より一番驚いたのは『日本の小学生は通学の際、親が送り迎えしていない』と聞いた時だ。どれだけ治安が良ければそんなことができるのかと衝撃的だった(笑)」という。
中国の都市部では、小中学生が通学する際、両親や祖父母などが送迎するのが常識である。日本のように一人、もしくは子どもたちだけでの通学は、まずあり得ない。まして、小学生が一人で電車に乗って遠距離を通学するのは“信じられないこと”である。日本の子どもたちの自立性の高さ、それを重んじて支える日本の社会や治安の良さが魅力的に見えたのだろう。
「現在の日本の生活はどうですか」と問うと、劉さんは「日本は想像したよりも本当に素晴らしい国だ」と、目を輝かせながら次のように語った。「日本語が全然できない私たちが日本に行って、どうやって生きていくのか。不安がなかったというと、うそになる。しかし、想定していた困難は思ったほど深刻ではなく、日本の皆さんに助けていただきながら、乗り越えている」
さらに「自分が幼少期に受けた歴史の教育をすべて覆されたような感じだ。僕は今、どういう言葉を選んで自分の気持ちを表現すればいいのか分からないほど、とにかく日に日に楽しくなり、感動することが多い。もっと早く来たら良かった」と話す。







