劉さんが語る
「日本(大阪)のここが好き」
一体、日本のどんなところが劉さんにとってそれほど幸せなのか。
・区役所でいろいろ面倒な手続きをする際、日本語が分からない私たちに、職員が親身になって長い時間や手間をかけて、丁寧に対応してくれた。中国でいう本物の「人民の公僕」とは、こういうことだと思った。生まれて初めて体験した。
・買い物の際に、店員さんがお釣りを見せながら金額を確かめる。こうした丁寧なサービスを日々享受しており、とても居心地がいい。
・日本では冠婚葬祭、学校行事など、日常の中にさまざまなイベントがあり、参加者がきちんと服装やルールを守って参加していて“儀式感”がある。中国社会ではこうした伝統的な習慣がほとんどなくなっているが、こういう慣習が残っているのはとてもいいことだと思った。
・食べ物は何でもおいしい。特にフグ、すき焼き、お好み焼き、たこ焼きが大好き。
などなど、劉さんから次々と語られる「日本礼賛」は枚挙にいとまがない。
最も重要な「子どもたちのための移住」という目的も順調なようだ。
「2人の息子は、週に2回は大阪市教育委員会による外国人向けの無料日本語教室に通っている。そして、息子たちが入学した公立の小中学校では、何か連絡を取る必要があるときは、学校側が中国語の通訳を付けて親とコミュニケーションを取るシステムがあり、とても助かっている」
「子どもたちは給食大好きで、日本の学校に通うようになって、上の子は5キロも体重が増えた」
「振り返れば、1年前に上海を脱出した時の苦労は並々ならぬものだったが、現在の生活と比べると、そうした苦労に値すると思った。最近僕のビジネスも日本の取引会社を見つけて順調に進んでいる。これからはきちんと経済活動し、きちんと納税して、日本に恩返したいと思っている。そして、家族と一緒に日本社会に溶け込むように頑張りたい」
劉さんは日本の良い面ばかりをひいき目に見過ぎており、逆に心配になるほどだったが、大阪在住経験がある筆者から見れば、現在、劉さん家族が住んでいる地域は、いわゆる「大阪のおばちゃん・おっちゃん」がたくさんいる。人情味と面倒見の良い人が多いということもかなり奏功していると感じた。







