「1日があっという間に終わるのに、仕事が進まない」「午前中から疲れてしまう」。そんな人に読んでほしいのが、『ワークハック大全』だ。GoogleやTwitter(現x)で働いた著者ブルース・デイズリー氏が、最新の心理学と職場研究から導き出した“超快適に働ける方法”を紹介している。本記事では、世界18ヶ国で刊行された本書の「学習メソッド」から、午前中を「修道士モード」にすることの重要性を紹介していく。(構成:ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
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「午前中の修道士モード」で集中力を取り戻す
著者が勧めるのは、朝の時間を「修道士モード(モンクモード・モーニング)」に変えることだ。これは、静かに自分の思考に集中するための時間を意識的に確保する習慣である。
起業家、特に小さなスタートアップ企業のCEOには、僕が”モンクモード・モーニング”(午前中の修道士モード)と呼ぶものを実践している人が多い。
彼らはこう言う。“午前11時か正午までは誰とも連絡をとらないし、会議にも出ない。メールにも返信しないし、電話にも出ない”。午前中は各自が静かに仕事に集中し、他人と関わる仕事は午後に回す、というアプローチを会社全体で採用しているケースも多い。(『ワークハック大全』より)
この考え方を取り入れ、朝の数時間を“自分専用の集中タイム”として固定化するだけで、生産性が劇的に変わるだろう。
メールやチャットを閉じ、スマホの通知を切る。これだけで、頭のノイズが減り、驚くほど思考が澄んでくる。
著者はこの時間を「最も重要な仕事を片づけるための神聖な時間」と位置づけている。朝の集中は1日の調子を決める“起動スイッチ”なのだ。
「オープンスペース」は集中の敵
現代のオフィスは、開放的なオープンスペースが主流になっている。だが著者は、この環境こそ集中を妨げる最大の要因だと指摘する。
オープンスペースのオフィスで働く人は、近くに同僚が少数(6人未満)しかいないオフィスで働く人たちよりも病欠日数がはるかに多くなる。また、同僚から気軽に質問される、同僚の話し声が気になる、などといった要因によって、平均して3分ごとに仕事への集中力を妨げられている。(『ワークハック大全』より)
オープンスペースでは、常に誰かが話しており、通知音や雑談が飛び交う。集中が途切れるたびに脳のエネルギーは奪われ、仕事の質も下がっていく。
これを防ぐためには、ヘッドフォンの活用や「今は集中しています!」といったシグナルを周囲に送ることで、意図的に“自分の壁”をつくるのが効果的だろう。
また、在宅勤務の人も例外ではない。自宅でもSNS通知やチャットツールに追われると、結果的に集中を失う。
だからこそ、朝の2時間を誰にも邪魔されない時間にすることが、最も効率的な働き方なのだ。
「コントロール感覚」が幸福を生む
著者によれば、私たちが仕事にやりがいや幸福を感じるときは、報酬ではなく「自分で仕事をコントロールしている」という感覚があるときだ。
たとえば、午前は「思考の仕事」、午後は「打ち合わせやメール対応」と時間を分けるだけでもいい。
仕事のペースを取り戻すコツは、「時間を管理する」のではなく、「注意がそれない環境をつくる」ことにある。
著者が繰り返し説くのは、「仕事は自分の手で変えられる」という信念だ。
朝の修道士モードを毎日2時間続ける。それだけで、あなたの1日は驚くほど軽快になるだろう。






