「あなたは松江の宝になる人」ヘブンを説得する錦織(吉沢亮)に、思わず「あなたも国宝ですよ」とツッコんだ〈ばけばけ第24回〉『ばけばけ』第24回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第24回(2025年10月30日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

ジゴク、ジゴク

 異文化コミュニケーションを描く回。

 ヘブン(トミー・バストウ)の部屋の拭き掃除をしていたツル(池谷のぶえ)は、女性の写真をみつける。イザベラ(シャーロット・ケイト・フォックス)の写真だ。

 異性や伴侶の写真を持ち歩くという概念のないツルは、珍しげに見る。そういえば、トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)は写真ではないものの、夫の似顔絵代わりに小豆洗いの絵を持ち歩いていた。実はトキ、先進的な感覚であったり、西洋的な発想を、持っているのかもしれない。人は見かけによらないものだ。

 ヘブンは風呂に入って「ジゴク、ジゴク」と大騒ぎ。

「いや風呂は天国ですが」と平太(生瀬勝久)が首をかしげるが、沸かしすぎたらしく、ヘブンは風呂場から飛び出してくる。外国人は浴槽にゆっくり浸かる習慣がないからなのか、日本のお風呂に慣れていないのかもしれない。

 全裸で出てきたヘブンの映してはいけない部分を、手前のお茶わんで隠すカメラワーク。こんな朝ドラは、はじめてではないだろうか。うん、絶対これまでになかったと思う。こういうのは昭和のテレビのコメディドラマやバラエティ番組などではあったけれど、朝ドラでそんなことをしようとするなんて驚いた。

 ただ、あくまでも控えめな表現に留めているように感じた。

 このシーンをはじめとして、第24回はかすかに艶笑譚(えんしょうたん)風。

 ツルとウメ(野内まる)はヘブンの裸を見てきゃーきゃー大騒ぎ。

「これはこれで地獄」と平太。

 愉快なドタバタシーンであったが、平太は「異人は厄介」「調子にのってる」「天狗(てんぐ)だけに」とヘブンに対して偏見が募っていっているようなのだ。

 宿泊費は高くしたうえ、陰口。言葉が通じなかったり、言動が理解できない相手には人間は冷たくしてしまうのかなあと思うと、やるせない。

 そうとは知らないヘブンは目玉焼きを披露する。日本ではなじみのない卵の調理法で、みんな興味津々で盛り上がる。ここでヘブンと松江の人たちが仲良くなるかと思ったら――。