吉沢亮(錦織)の英語が胸に刺さる!「困ったら私がいます」日本に戸惑うヘブンに寄り添う心にジーンとする〈ばけばけ第25回〉『ばけばけ』第25回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第25回(2025年10月31日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

やさしさだけでここまで来た男

「来たな来たな。島根の命運を握ってる男の命運を握っちょる男が」

 まわりくどい言い方をする知事(佐野史郎)。

 盆栽を剪定(せんてい)している知事のもとに錦織(吉沢亮)がやって来た。

「命運を握れそう」かと聞かれ、「まだなんとも」と奥歯にものがはさまったような言い方をする錦織。それもそのはず、明日から授業なのに、島根の命運を握っているヘブン(トミー・バストウ)とコミュニケーションが一向にとれないことを案じているのだ。

 コミュニケーションを「小麦」と聞き間違える知事。

 王道の聞き間違えコントをやりながら、シリアスな顔で、「とてつもなく大事なことを言おう、あの男は――」でタイトルバック。

 いつもの世を儚む歌を聞いたところで、花田旅館では、鯛をメインにとてつもなく豪華な朝食が用意されている。

 ヘブンの初登校祝いに腕を振るったのだ。

「やさしさだけでここまで来た男だけんのう」と平太(生瀬勝久)。よく言う。「ごますり」だけでここまで来たのほうが正しいだろう。

 優しいと言いながら、ヘブンの苦手な糸こんにゃくを大盛りにしてみたりして。いやがらせ朝食である。

 鯛と糸こんにゃく。まさに天国と地獄。

 さらに、トキが届けた新鮮なしじみによるしじみの炊き込みごはんにしじみ汁。

 旅館の豪華和朝食には、司之介(岡部たかし)が持ってきた牛乳は残念ながら合いそうにない。

 朝食はお部屋に届けられる。が、届けに行ったウメ(野内まる)が泣きながら戻って来る。また厄介なことが起こりそうな気配だ。