「心の疲れ」は「脳の疲れ」…限界になる前にやるべき「たった1つのこと」
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どこでもできる「心の疲れ」を取る方法
今日は、どこでも実践できる、「心の疲れを取る方法」についてお話しします。
もちろん、この方法で得られる効果は、ひと晩ぐっすり眠ったり、リゾート地で2週間ゆっくり休んだりするほどの劇的なものではありません。
しかし、そのような大きな休みがなくても、いつでもどこでも簡単に頭の疲れを取り、心を軽くすることができる方法といえます。
「心の疲れ」の正体は「脳の疲れ」
まず理解していただきたいのは、私たちが感じる「心の疲れ」とは、実は「脳の疲れ」であるということです。
脳が処理しなければならない情報量(処理量)が許容量を超えてしまい、いわゆる「いっぱいいっぱい」の状態になると、私たちは「疲れたな」と感じたり、ネガティブな気分になったり、イライラしやすくなったりします。
脳が疲れるメカニズム
この脳の疲れが回復しないまま蓄積し、深刻なレベルになると、うつ病といった状態に至ることもあります。
人間の脳は、日々の活動で多くの情報を処理しながら疲れを蓄積していきます。逆に言えば、この処理する情報量を減らせば、脳は回復することができます。
脳の「処理量」と「回復力」のバランスが崩れ、処理量が回復力を上回る状態が続くと、心身の状態は悪化していきます。逆に、回復力が処理量を上回れば、元気を取り戻すことができるのです。
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簡単な疲労回復法
したがって、脳を休ませるには「処理する量」を意図的に減らしてあげることが有効です。例えば、精神科医の私は、忙しい日には1日に120人もの患者さんを診察することがあり、途中で頭が働かなくなるほど疲弊することがあります。
そうした時に実践しているのが、「1分ほど目をつぶって、ぼうっとする。そして深呼吸する」という方法です。
1分ほど目を閉じて休んだからといって、業務が滞ることはありません。このような1分程度の短い休憩を、適宜(例えば1時間に1回など)挟んであげるのです。
なぜ「目をつぶる」と脳が休まるのか
なぜ、これほど短い休憩でも効果があるのでしょうか。それは、脳が処理する情報量と深く関係しています。
人間の脳は、視覚から非常に多くの情報を受け取っています。たとえ意識して「処理している」つもりがなくても、目に見えるものすべて(例:あそこに何がある、ここにこれがある)を、脳は情報としてキャッチし続けています。
そこで、強制的に目をつぶることで、この視覚情報の流入をシャットダウンするのです。情報量が減ることで、脳は処理する作業を休むことができ、回復が促進されます。
私たちが眠るときに目をつぶるのも、視覚情報を遮断するためだと考えられます。散らかった部屋にいると無意識に疲れて落ち着かず、物が少なく整理された部屋だとくつろげるのも、この視覚情報量の差が原因だと思われます。
「深呼吸」でリラックスモードに切り替える
さらに効果を高めるのが「深呼吸」です。
人間の体は自律神経によって調整されています。仕事中や活動中は、体を興奮・活発化させる「交感神経」が優位になっています。一方、体をリラックスさせ、くつろがせるのが「副交感神経」です。
目をつぶり、ゆっくりと深呼吸をして手足の力を抜くことで、この「副交感神経」が優位な状態に切り替わります。これにより、仕事中の興奮状態が一時的に緩和され、脳と体が休息モードに入ることができるのです。
1時間に1回の「小さな休息」
この「目をつぶり、深呼吸する」という方法を、例えば1時間に1回程度取り入れるだけでも、やるとやらないとでは疲れの蓄積が大きく異なります。
「どうしようもなく疲れた」と感じる前に、この簡単な方法をマスターし、こまめに脳を休ませてあげることをオススメします。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








