「大学3年生です。就活がうまくいかなくて死にたくなります」
『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、大学3年生の進路の悩みについて著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

新卒 就活Photo: Adobe Stock

売り手市場だからこそ悩みやすい

先日、21歳の自殺者が増えているというニュースを目にしました(※)。その大きな要因に挙げられているのが、進路の悩みです。大学3年生は就職活動の時期で、どんなやりたいことがあって、どんな仕事に就きたいかなど、自分と向き合う時間が増えます。

そして、内定を次々ととる周りの友人などと比べて、落ち込んでしまうこともありますよね。さらに今は売り手市場で、内定が出やすいと言われているからこそ、内定が出ないと余計に悩んでしまう。実際、「就活がうまくいかなくて死になってしまいます」といった悩みを耳にしたこともあります。

就職氷河期世代からすると、「今は内定が出やすいのに悩まないでいい」と思うかもしれないですが、人間は比較する生き物です。

就職氷河期は“周りも”就活がうまくいかなかった。でも今は、“自分だけ”が就活がうまくいかない。

それなのに自分はうまくいかないと悩んでしまうのです。

不採用は適性が合わなかっただけである

先ほどのニュースを読んでいると、就活がうまくいかずに内定が出ないと「自分は必要とされていない人間なんだ」と思ってしまう人が多いと書かれていました。

僕も就活中を思い出すと、最終面接まで進んだのに、あっさりとした不採用のメールが届いた時は本当に落胆しました。愛知から夜行バスで大阪に行って、何時間もかけて選考に参加したのに、簡単なメールで不採用にされてしまう。

就活で初めてこんな経験をすれば、落ち込むのも当然です。

そんな時に、就活生のみなさんに持っていてほしい考え方があります。

『決して自分を否定されたわけではない。就活での不採用は、適性が合わなかっただけである』

この考え方です。

例えば、東大生で留学経験もあって英語がペラペラ。更には起業経験もあるAさん。Aさんはどの企業からも内定が出るかと聞かれると、実はそうではありません。

企業によっては「うちの会社には優秀すぎる」「すぐに辞めて転職しよう」「独立しそう」「うちのリーダーたちとぶつかりそう」…などなど、様々な理由で不採用にします。

就活は受験と違います。一般入試などの受験で落ちたら、それはテストの点数が悪かったことが原因です。

しかし、就活は「不要な人間だ」という理由ではなく、「自社には合わない人間だ」と思われただけなんです。

だからこそ、不採用メールのことを僕はこう呼んでいます。

『適性が合わなかっただけメール』

不採用になったことで、自分は不要な人間だと思う必要はありません。

もちろん選考対策など、できることはしっかりと取り組んだうえで、自分と適性の高い企業と出会うまで続けましょう。

仮に、大学を卒業するまでに出会えないかもしれません。ですが、既卒となったり、アルバイトで生計を立てながらでも、自分に合う企業を探し続けることができます。

どんな大企業でも合わない人には合わない

最後に、僕自身の話をさせてください。僕は新卒で、大手食品会社に入社しました。本当に働きやすくていい会社でした。ですが、「新しいことに挑戦することが好きだ」という性格が、大手企業には合わなかったんですよね。

安定や企業の知名度よりも、新しいことに挑戦するのが楽しい。当時、発信を続けていた就活ブログで、もっと多くの学生の就活を応援したい。

こうした思いが募った結果、1年で退職するに至りました。

大手食品会社に内定が決まったとき、周りから「すごい」と言われました。大手食品会社を辞めるとき、周りから「何やってんの」と言われました。

ですが、誰だって自分に合う企業なんて働いてみないとわかりません。そして、自分に合う生き方は、自分にしか分かりません。

だからこそ、周りと比較して優劣をつけることに意味はありません。

人間、どうしても比較をしてしまう生き物で、比較をやめることは難しいですが、だからこそ、比較したうえで「でも自分にはこういういいところがあるから」と前向きに考えてみる。

もちろん就活がうまくいっていない時に、こんな楽観的に考えることはできないかもしれません。

ですが、どれだけ周りが成功しているように見えたとしても、その人はその人なりに「なんか合わないぞ」とか「理想と違ってきつい」と悩んでいるものです。

拙書『脇役さんの就活攻略書』の「おわりに」では、就活本らしくないですが、「就活で人生は決まらない」というメッセージを書きました。

本気でそう思っていて、人間は生きてるだけで偉いと考えています。だって、「消費」によってお金が世の中に回っていって、誰かの役に立つんですから。

僕も1日何もせず、ぼっーとする日があります。でも、それで自分を否定したくなった時は、「さっき食べた蕎麦を作った生産農家の方に貢献できたな」なんて思うようにしています。

まずは少しでも前向きに考え、心に余白を作り、その余白で少しずつ就活に尽力していきましょう。

陰ながら、あなたの就活と人生を応援しています。

(※)厚生労働省「令和7年度自殺対策白書」

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです