ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者・森武司氏は2005年にFIDIAを創業以来、18年連続増収増益を達成。では、その成長を支えた「仲間力」とは何か。本書に強く惹かれ、37冊も購入したという経営者がいる。人材事業を中心に4つの事業を展開する株式会社Stella Point 代表取締役・米川凱(よねかわ・がい)氏だ。彼が本書から学び、自社の採用戦略にどう生かしているのかを聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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37冊も購入した理由
――著者の森武司さん(FIDIA代表)と最初に出会ったきっかけを教えてください。
米川凱(以下、米川):創業して半年くらいの頃、FIDIA株式会社が主催する採用イベントに誘っていただいたんです。そこでお話を聞いて、FIDIAの考え方や人の雰囲気に一気に引き込まれました。
それ以来、森さんの考え方にどっぷりハマって。気づいたら『スタートアップ芸人』を37冊も買ってました(笑)。
――37冊!? そこまで惹かれた理由は何だったんでしょう?
米川:EVAND(現FIDIA SOLUTIONS)の社員さんたちと関わる中で、皆さんが同じ方向を向いていることに驚いたんです。バラバラじゃない。ズレてない。その中心に森さんがいる。
「人が人を信頼し合う組織って、こうやってできるんだ」と初めて腹落ちしました。
最初は「すごい人を立てている人って、どんな人なんだろう?」という好奇心だったんですが、気づけば森さんの経営哲学に完全に影響を受けてましたね。
「優秀な人」ではなく
「半径5mの仲間」を増やす採用へ
――本書の中で、特に採用観が変わった部分はどこですか?
米川:「今まで出会った中で一番優秀な人を紹介してもらう」というパートです。
あれを読んだとき、「これだ」と思いました。
僕らStella Pointでは、“半径5m以内を幸せにする”という理念を掲げているんです。
6mとか7mとか広げるより、まず自分のすぐ近くにいる人を大切にしたい。
そのためには、「半径5mの中にいる人」をどう増やすかがすべてなんですよ。
だから今は、採用のときに「うちっぽい人を紹介してもらえませんか?」と周囲に声をかけてます。“優秀な人”じゃなくて、“Stella Pointっぽい人”。
それを言語化してお願いするようにしてるんです。
――「優秀さ」の基準を捨てたわけですね。
米川:そうです。というか、「優秀」って誰が決めるんですか? 学歴? 職歴? そんなの関係なくて。うちにとって大事なのは、「一緒にいたいと思える人かどうか」なんです。
半年に1人ペースが「ちょうどいい」理由
――紹介による採用は、実際どれくらい進んでいるんですか?
米川:今のところ、紹介で採用したのは2名です。「少ない」と思われるかもしれないですけど、カルチャーの伝染を考えたら、半年に1人ペースがちょうどいいんですよ。
FIDIAの橋本さんも「カルチャーはどこにもマネできない」とおっしゃっていましたが、本当にその通りで。時間をかけて浸透していくものだからこそ、“うちっぽさ”が社内で自然に広がって、そこから次の仲間が生まれる。そんな循環をつくっていきたいんです。
――多くの会社が「とにかく人手が欲しい」と焦る中、あえてペースを落としている?
米川:焦って採ると、絶対に後でズレが生まれます。
スキルはあるけど価値観が合わない人が入ってくると、既存メンバーが疲弊するんですよ。それって、誰も幸せにならないじゃないですか。
だったら、時間をかけてでも「この人と一緒に働きたい」って思える人を迎え入れたほうが、結果的に組織は強くなる。それを『スタートアップ芸人』から学びました。
――最後に、採用に悩んでいる経営者の方々にメッセージをお願いします。
米川:“自社っぽい人”を意識するだけで、採用の視点がガラッと変わると思います。スキルや経歴じゃなくて、「誰と一緒にいたいか」で判断できるようになる。
これはまだ実践していない経営者の方にも、ぜひ試してほしいですね。まずは「自社っぽい人って誰だろう?」と、周囲に聞いてみるところから始めてみてください。きっと、採用がもっと人間的で楽しくなると思います。
『スタートアップ芸人』には、そういう“当たり前だけど見落としてる本質”がたくさん詰まってるので、参考になると思いますよ。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)










