アメリカでも日本でも、シートのサイズは同じ
F:アメリカで売っているフォレスターと日本仕様は同じですか?実はいろいろ変えている部分があったりするのですか?
只:全く同じです。ハンドル位置以外はすべて同じです。
F:シートも同じですか。平均的身長の私が座ってちょうど良かったので、大柄なアメリカ人からすると小さく感じたりしないのかしら。
只:クルマの寸法で言うと、向こうではかなり小さな部類に入ります。先にお話した、RAV4やCR-Vのように直接競合するクルマと比べても小さな寸法です。ですが「シートが小さい」という声は聞こえてきませんね。
「死亡交通事故ゼロ」へ、安全面はどう変わった?
F:スバルを取り巻く市場環境、パワートレイン、外観に使い勝手と伺ってきました。最後に安全面について伺います。スバルは「死亡交通事故ゼロ」を掲げています。今回のフォレスターで、その“ゼロ”に向けて何か新しいことはありますか?
只:まず視界です。顔つきは厚くなっていますが、運転中に見えてほしくない要素。代表的なところとしてはフロントワイパーの存在感。これを極力消す方向で作り込みました。ボンネットの面もドライバーから滑らかに見えるよう整えています。
F:視界は良いですよね。座った瞬間にそれは感じました。
只:評価のやり方も、真正面だけを見るのではなく、運転中に人が全体を捉える前提で重み付けを見直しました。その結果、顔の厚みを増やして見た目の重厚感を保ちながらも、視界は悪くならないようにしています。
F:万一ぶつかってしまった際の安全性はどうでしょう。
只:衝突安全に関しては、キャビンの骨格をインナーフレーム化で連続性を高め、荷室の大きな開口を確保しながら剛性はきちんと維持しています。これは設計として絶対に譲れない条件です。あとはエアバッグですね。サイドやカーテンに関してはスバルが長く積み上げてきた領域で、実際に「カーテンエアバッグが開いて軽傷で済んだ」というお客様からの報告をいただいています。今回の大きなトピックとしては歩行者保護エアバッグです。私たちは“乗員だけでなく相手も守る”という考え方でやっています。
自転車事故も想定し「乗員だけでなく相手も守る」
F:あれ?歩行者保護エアバッグは前からありましたよね。
只:はい。これまではあくまでも「歩行者」を対象に進めてきましたが、フォレスターでは自転車に乗っている方まで念頭に置いてカバー領域を広げています。自転車の場合、相手が高い位置になる分、Aピラーやボンネット後端側など、“クルマの硬いところ”に当たる可能性が高くなる。展開の立ち上がりや覆う位置を見直し、可能な限り“当たり所”をエアバッグで覆えるようにしました。
F:なるほど、日々の運転で効く視界づくり、事故を避けるための制御、そして万一ぶつかったときには致命傷を避ける備え。これらの三つを層で積み上げているのですね。いや、とてもよく分かりました。今回はありがとうございました。
一同:ありがとうございました!
スバル・新型フォレスター Photo by F.Y.







