視界良く、荷室は広くてスクエア
只:ボディの骨格のたくましさに加えて、上のキャビンですよね。グラスエリアを中心にしたキャビンも大きな面積が取れていることで、視界の良さが伝わると思います。荷室もスクエアでしょう。外観に力を入れると言っても、そこはフォレスターです。スリーク(Sleek:滑らかでシュッとした)なデザインにするつもりはありません。やっぱり機能的価値が伝わるようにしなければいけません。しっかりSUVとして荷室が取れていますよ、と見た目から伝わるような。そんなことを意識してデザインしました。
F:そうそう。機能的と言えば、このクルマはキャディバッグがちゃんと横向きに入れられますよね。輸入車なんか、かなり大きなクルマでも横向きには入れられない(参考記事)。ここはさすがだなと思いました。
只:ありがとうございます。フォレスターの間口の広さは自慢の一つです。
リアゲートは、ゴルフのキャディバッグを横向きに入れられる広さ Photo by A.T.
F:4人分のクラブを積んでゴルフに行けちゃいますよね。
只:4人で行けちゃいます。しかも、バッグを横向きのまま、まっすぐスポッと入るぐらいの幅を取ってある。入口が狭くないので、斜めに入れてから中でグリグリ抉る必要がありません。ここは意識しました。荷室開口部の最大幅が1250mmあるのですが、このクラスでそこまで広い間口を取っているクルマは他になかなかありません。大体は900mmくらいです。
間口は広く、剛性は落とさず
F:ですが、間口を広げると必然的にボディのねじれ剛性が落ちてしまう。車体設計側としては、やっぱり狭くしておきたいですよね。
只:そこが難しいところです。リアの柱の形状と板厚板金の合わせ方。そこをキッチリ詰めて、しっかり剛性を保てるようにしました。フェルさんの言うとおり、ここが華奢になると、ちょっとした悪路でもクルマがねじれ始めるんですよ。
F:ですよね。悪路に行く機会が少なくないこの手のクルマであればなおのこと。本音を言えば剛性維持のために開口部は狭くしておきたいですよね。
只:はい。それはもちろんそうです。
F:そこは設計とのせめぎ合いだったんですか。
只:そうです。そこは絶対に譲らない前提で、間口を広くしています。設計には苦労してもらいました。
F:「入口が狭くても中が広ければいいじゃん、結果的に4人分のクラブが積めればそれでいいじゃん」という話にはならなかったのですか?
只: 4人分が積めれば同じことなのかもしれません。でも入口を狭くしてしまうと、積むたびに毎回の動作が小さなストレスになる。それが積み重なると……。
F:なるほど。長く使っているうちに、嫌なクルマ、ストレスの溜まるクルマ、という印象になってしまう。







