標高1500mに設営された芝コースを走る「クロストレック・ストロングハイブリッド」標高1500mに設営された芝コースを走る「クロストレック・ストロングハイブリッド」 Photo by Kenji Momota

今年中に発売予定のスバル「クロストレック・ストロングハイブリッド」は、すでに市場導入されている同社のマイルドハイブリッド車とは装備や性能が大きく異なる。それだけでなく、走り味や乗り味の違いもハッキリと異質のものに仕上がっていた。富士山の標高1500mに設営されたコースでじっくりと走った。(ジャーナリスト 桃田健史)

EVシフト時代でも独自路線!
水平対向エンジン継続を宣言

 待ちに待った、スバル次世代ハイブリッドシステム搭載車を試乗した。

 数年前から、スバルがトヨタ自動車と連携してこれまでに例のないハイブリッド車(HV)を開発しているといううわさは、いわばスバル公認で世間に広がっていた。

 そんな次世代ハイブリッドシステムが初公開されたのは、トヨタ、マツダ、スバル3社が5月末に都内で共同開催した「マルチパスウェイ」説明会でのことだった。

 スバルの技術を統括する取締役専務執行役員・CTO(最高技術責任者)の藤貫哲郎氏は実機を前に「この形で水平対向エンジンを継続する」と力説した。

 EVシフトの必要性がグローバルで高まる中、スバルはトヨタとEVの共同開発を進めている。2026年度をめどに新規に3モデルを市場に導入する予定で、それとは別のプロジェクトとしてスバル自社のEVも開発するなど、EVシフトに向けた最終準備に追われているところだ。

 一方で、次世代HVの市場導入についても急務であった。既存のマイルドHVの燃費が国際規格WLTCで15.8km/Lにとどまっており、他ブランドのHVと比べると燃費がイマイチというイメージがあるからだ。

 さらに、スバルの主力市場である北米でHVのシェアが拡大していることが、スバルがHVのラインナップ強化を加速させる大きな要因になっている。

 まさに、ラインナップ強化の代表である、次世代ハイブリッドシステムを初搭載する「クロストレック・ストロングハイブリッド(商品名、S:HEV)」を試乗した。

 次ページでは、クロストレック・ストロングハイブリッドを試乗して感じた従来のHVとの違いを明らかにする。