努力の方向を間違えまくる残念な人。
そんなあなたに薦めたいのが、全世界45言語に翻訳され、世界500万部を突破しているベストセラー『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』(ジョン・ストレルキー 著/鹿田昌美 訳)だ。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、おすすめの名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
Photo: Adobe Stock
全世界500万人が感動した「ウミガメの話」
ハワイ沖でシュノーケリングをしていたの。
あの日はすでに最高だった。
紫の斑点のあるウナギとタコを見ることができて、どちらも初めて見たのよ。
それだけじゃないわ。
何千匹もの色とりどりの鮮やかな魚に出会った。
明るいネオンブルーから、信じられないほど深い赤色までさまざまな色の……。
私は岸辺から30メートルほどのところで、大きな岩の間を潜っていたわ。
右を向くと、大きなアオウミガメが隣を泳いでいたの。
野生のウミガメを見るのは初めてだったから、とても驚いたわ。
私は浮上してシュノーケルを外し、水面に浮かんで、ウミガメを観察したの。
ウミガメは私の真下を、岸の反対側へと泳いでいた。
私はしばらく水面に留まって、カメと一緒に泳ぐことにしたの。
すると驚いたことに、ウミガメの動きはかなりゆっくりで、ときどきヒレを動かしながら、ただ流れに身を任せているだけなのに、私はそのペースについていくことができなかったの。
私はフィンを履いていたから、水中で推進力を得ることができたし、浮力ベストのようなスピードを落とす装具は何も身に着けていなかった。
それでも、ウミガメはどんどん私から遠ざかっていくの。
私は追いつこうとがんばっていたのに。
10分ほどすると、ウミガメは姿が見えなくなった。
私は疲れて、がっかりして、ウミガメに追いつけなかったことに少し恥ずかしさを感じながら岸辺まで引き返したの。
翌日、またウミガメが見れるかもしれないと期待して、同じ場所に戻ったわ。
水に入って30分ほど経った頃、黒と黄色の小魚の群れに目を向けると、またアオウミガメがいたのよ。
私はしばらく、ウミガメがサンゴの周りを泳ぐ様子を眺めていたわ。
その後、ウミガメが沖のほうへと泳ぎはじめたので、私は追いかけようとしたの。
でも、またしても追いつけなかった。
私の先を進んでいるので、私は足をばたつかせるのをやめて、ただ水に身を任せて、ウミガメを見守ったのよ。
ウミガメが私に大切な人生の教訓を教えてくれたのは、そのときだったわ。
水面に浮かんでいたときに、あることに気づいたのよ。
ウミガメは泳ぐときに、自分の動きを波の動きに合わせていたの。
波が前から迫ってくるときは、ウミガメは浮かびながら、自分の位置を保つのにちょうどいいくらいの速さで泳ぐ。
波が背後から押してくるときは、勢いよくヒレを動かす。つまり、波の動きをうまく利用しているのよ。
ウミガメは、波に逆らうことはしなかった。
むしろ、波の力を借りたの。
私がウミガメについていけなかったのは、水の流れの方向を無視して、ずっと足をばたつかせていたからなの。
最初はそれで問題なかったし、ウミガメと一緒にいられた。
足の動きをゆるめることさえあったわ。
でも、向かってくる波に反発してばかりだと、疲れてしまうのよ。
波が押してくれるときに、その波を活かして進むだけのエネルギーが残っていなかったの。
波が次々と寄せては引いていくと、私はどんどん疲れて、効率が悪くなった。
でも、ウミガメは違った。
波の向きに自分の泳ぎ方を上手に合わせ続けたの。
だから私よりも速く泳げたのよ。
「ウミガメ」が教えてくれた人生の本質
そのウミガメは、私たちに教えてくれます。
自分が何をしたいのかがわからなければ、他の多くのことに無駄なエネルギーを費やしてしまう。
そして、本当にやりたいことのチャンスが巡ってきたときに、それに費やす時間も体力もないかもしれない。
そんな人生の本質を。
私たちは、本当に毎日、どうでもいいことにエネルギーを使わされています。
そんなことに反応ばかりしていたら、自由な時間は無くなってしまいます。
自分にとって大事なものにだけ反応をする。
それは、先ほどのウミガメが、波が来たときだけ、ヒレを動かすように、私たちもそのタイミングを見計らわないといけないのです。
(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)






