
司之介、トキを尾行する
借金取りの森山銭太郎(前原瑞樹)がやって来たのだ。
借金に朝も夜もない。記者の「夜討ち朝駆け」取材のようなものだろうか。
トキはヘブンからもらった給料の一部を渡す。これまでにないけっこうな大金で、銭太郎は「親父(おやじ)が生きちょるときに返さんか」と嫌味を言う。このセリフには彼の父・善太郎(岩谷健司)への思慕も感じるようだった。
銭太郎が帰ったあとをトキは追いかけ、さらにお金を渡す。家族にこんなにお金を持っていることを見られたくなかったのだろう。
「なしてこげに」と驚く銭太郎に「必死に働いているだけです」とトキの表情は固い。
かつて善太郎がトキに遊郭で稼いで借金を返すように勧めていたが、遊郭で働いても、こんな大金を返すことはできなかったかもしれない。
場面変わって、タエ(北川景子)のあばら家。黒い犬がやって来る。そのあと、僧侶が来て、施しににぎり飯をくれる。僧侶の施しだったら素直にいただけるようだ。その横顔を見つめる三之丞(板垣李光人)。
タエは食べ終わると、ゴザをもっていつものところへ向かう。残された三之丞は犬に握り飯を与える。自分だってとてもおなかが空いているだろう。でも犬に分けるとは三之丞も誇り高い武士の血が流れている。これは深読みだが、トキにもらったお金を僧侶に渡して握り飯を作ってもらっているのかもしれない。そうじゃないとタエはお金を受け取らないだろうから。
さて、ここからが第33回のおもしろいところとなる。出勤するトキのあとを司之介(岡部たかし)が尾行するのだ。フミ(池脇千鶴)がニコニコとトキを見送ったあと、隠れていた司之介がうんとフミに合図して、尾行開始。おトキ探偵から、司之介探偵に変わった感じだ。
トキが1回ふりかえるが、司之介はうまくかわす。こういう軽妙な動きが見事な岡部たかし。お店のなかに入って追い出されたりするドタバタはルパン三世とかのアニメみたい。
父に尾行されていることを知ってか知らずかトキは花田旅館に入り、司之介も中に滑り込むと――。







