『ばけばけ』第31回より 写真提供:NHK
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第31回(2025年11月10日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
トキ、着物の裾をめくらされる
蛇「女中たってあれでしょ」
蛙「そうそう」
蛇と蛙「ねえ〜」
蛇(渡辺江里子)と蛙(木村美穂)の下世話なうわさ話的な会話からはじまった第7週『オトキサン、ジョチュウ、OK?』(演出:村橋直樹)。
トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)がヘブンの新居で殊勝な様子で待っていると、浴衣姿のヘブン(トミー・バストウ)がぬっと現れて仁王立ちしてトキの前に。あえてであろう、極端にあおったアングルが、トミーの脅威を物語るようだ。
「おはようございます」と握手を求められ、トキはおそるおそる握手。彼が来日したときのワクワク感はどこへやら。
そのとき、手前には布団が映っている。さらにそこに深刻な劇伴がかかる。こうなると、ヘブンの笑い声が、「ふっふっふ」といかにも悪代官的なふくみ笑いに思えてくる。そして「しじみさん」とトキに彼特有のあだ名で呼びかける。が、そのあとの言葉は「NO」。
そこでタイトルバック。主題歌を聞きながらシンキングタ〜イム。
タイトルバックの写真は、トキとヘブンの仲むつまじい様子なので、しじみさんことトキも、なみ(さとうほなみ)と同じくお眼鏡にかなわなかったか。それとも、タイトルバックがこんなにも仲むつまじいのだから、ヘブンはトキを女中になんてさせないという意味なのか。どっち、どっち?
タイトルバック終了。断った理由は――。それには答えずヘブンはトキに「腕を見せろ」と言い出した。そろそろと着物の袖をあげるトキ。
するとヘブンは「足も」と言い出した。
「なして」と釈然としない気持ちながらトキはそろそろと裾をまくしあげる。
トキの膝下を値踏みするようにじっと見るヘブン。
隣の錦織(吉沢亮)はうつむいて見ないようにしている。さすが錦織、紳士!
で、ヘブンはトキの手足をじっくり見て、何を言うかと思ったら――。







