元プロサッカー選手の中田英寿 Photo:Lampson Yip - Clicks Images/gettyimages
ノーベル生理学・医学賞を
受賞した大村智
甲府盆地の北西端に位置する山梨県韮崎(にらさき)市。県立韮崎高校は、学習と部活動との調和を図ることを「一人二芸」と表現しており、「文」と「武」で著名な卒業生を送り出している。
まずは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智(さとし)だ。北里大特別栄誉教授で、元北里研究所所長だ。
大村は大きな農家の長男として、1935年に韮崎市で生まれた。中学では野球やサッカー、韮崎高校ではスキーに夢中になり県大会で活躍、山梨大学学芸学部自然科学科に進学した。大学でもスキーにのめり込み、県代表として国体に出場した。東京都の教員試験に合格し、都立墨田工業高校の夜間部の教師になった。ここまでの経歴からは、後年になってノーベル賞を受賞するような研究生活とはまるで違っていたことがうかがわれる。
しかし、昼は工場で働き夜は勉強に没頭する生徒たちに触発されて、東京理科大大学院理学研究科に入学して有機化合物の構造決定の知識を身に付け、修士課程を卒業した。その後、山梨大工学部の助手―北里研究所研究室技師補になり、東京大で薬学博士、東京理科大で理学博士になり、米国の大学に留学した。
1973年に北里研にて抗生物質研究室の室長に就任、微生物から化合物を作成する研究に没頭した。「寄生虫によって引き起こされる感染症の治療の開発」が評価されて、ノーベル賞の受賞となった。開発に携わった抗寄生虫薬「イベルメクチン」は、アフリカなどで年間3億人を超える人々を感染症から救っている。







