大学の先生にも「わからないこと」がある

中原:学生たちと話していて改めて思うのは、「大学の先生にも『わからないこと』がある」ということを、彼らがわかっていないということです。

 大学の先生は、もちろん特定分野についての知識を持ってはいるけれど、じゃあその分野のことがすべて「わかっている」かというと、全然そんなことはない。むしろ、教師である私は「わからないことだらけ」です。「わかっていない」ということは、自分でよくわかっています。

びーやま:たしかに高校までであれば、「わからない問題」について聞けば、先生がちゃんと「答え」を教えてくれますよね。でも、大学の学問ではそういうわけにはいかない。

中原:大学では、先生の中に「答え」がないことがほとんどです。たとえば学生が「少子高齢化が進む中で労働力を確保したいとき、いちばん確実な方法はなんですか?」とか聞いてくるわけです。そのときに私が「私もわかりません」と答えたりすると、すっごく怪訝そうにしている。中には「え~、先生のくせにわかんないんですかあ?」とか言う子もいる。

 そのたびに、「私の中に『答え』はないよ」って伝えています。「この問いを考えるための方法は、少しだけなら知っている。あなたと一緒に考えることもできる。あなたの仮説に対して、私なりの意見を述べることもできる。だけど、私のなかに『答え』はないよ。私をまさぐっても『答え』は出てこないよ」と。

 いや~、よく振り返ってみると、学生たちとはそんなやり取りを何万回もやっていますね…。

びーやま:そういうことを教えてもらえる学生は幸せだと思います。宣伝記事にするつもりはないですが、立教の経営、やっぱりいいですね。「学歴厨」としても以前から注目していたんですが、ますますいろんな人におすすめしたくなりました(笑)。

中原:いいでしょ(笑)。勤めている私が言うのもなんですが、立教経営はおすすめ学部です。素直でいいやつ、がんばる学生がとても多いです。

中原淳氏(左)・びーやま氏(右)中原淳氏(左)・びーやま氏(右)
※1:本記事ではびーやま氏、もしくは編集部宛に届いた悩みを扱っております。
中原淳
立教大学経営学部教授。立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所副所長などを兼任。博士(人間科学)。1998年東京大学教育学部卒業。大阪大学大学院人間科学研究科で学び、米マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授などを経て現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発・リーダーシップ開発について研究している。著書に『M&A後の組織・職場づくり入門』『組織開発の探究』(共著、HRアワード2019書籍部門・最優秀賞受賞)、『研修開発入門』(以上、ダイヤモンド社)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)ほか多数。

びーやま
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。