​「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学に行けば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。一方で、「学歴」だけで人生の成功が約束されるものではありません。
本記事では「学歴だけではなく、大人になってからもなぜ学びが必要なのか」をテーマに『学びをやめない生き方入門』(テオリア)の著者であり、立教大学経営学部教授の中原淳氏と『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』の著者である、wakatte.TVのびーやま氏への特別対談をお届けします。(構成:藤田悠[テオリア]/撮影:Akifumi Shintani)

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「大学の授業がふわっとしていて、学んでいる手応えがありません。どこがテストに出るのかをちゃんと教えてほしいです」(18歳・大学生)※1

高校と大学の学びは「別ゲーム」

中原淳(以下:中原):「高校での学び」と「大学での学び」って、まったく別物だと思ったほうがいいですね。もちろん最近は、高校でも「探究」が導入され、課題解決型の授業も増えていますので、一概には言えません。

 ただ、大雑把に言えば、大学というのは「『わからないこと』について考える方法を学ぶ場」だと私は思っています。だから、学生たちにも「答え」ではなく、「考え方」を伝えることを大事にしています。

びーやま:それを知らないまま大学で学んでいる子は、めちゃくちゃ多いと思います。「高校までとはまったく違う学び」が求められていて、ゲームチェンジが起きているということを知らない。

 僕もそれに気づくまでにかなり時間がかかりました。大学2年生くらいの途中でやっと、「あ、大学って、自分で答えを見つけなきゃいけないんだ」って気づいた記憶があります。

学ぶこと=カッコいいことである

中原:私がいる立教大学の経営学部では、1年生の入学初日に「ウェルカムキャンプ」というイベントがあって、そこで「高校までのあなたはたしかにがんばっていたかもしれないけど、大学ではそれとは『まったく別のゲーム』がはじまりますよ」という話を、教員から伝えるようにしています。そして、「学ぶことはカッコいいことなんだ!」という新しい考え方についても話すようにしています。

立教大学◆立教大学経営学部「ウェルカムキャンプ」の様子。また、立教大学経営学部ではコアカリキュラムとして、「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」を実施。本プログラムは立教大学経営学部の全学生が参加する実践型カリキュラムであり、学生、教員、企業が連携し、立教型リーダーシップの段階的な獲得を目指す大規模な産学連携プログラム。
◆参考:https://blp.rikkyo.ac.jp(立教大学BLP公式サイト)

びーやま:それはめちゃくちゃいいですね! 全部の大学でそれをやったほうがいい。

中原:昔は「大学=レジャーランド」みたいなノリがありましたけど、いまはもはやそういう時代ではありません。せっかく学ぶ以上、学生たちには「学ぶっていうのは、じつはめちゃくちゃカッコいいことなんだ」というのをわかってほしいんですよね。