一方、上司より早く帰れない、長期休暇が取れない、残業が多い日本は、会社で過ごす時間を売る、つまり「会社での人生を売る」システムであるように見えます。こうした仕事文化が結果的に、労働生産性の低下を招く一因ではないでしょうか。

 労働生産性が低いのには他にも理由がありそうです。働き方と同じくらい重要な、休み方に関係します。

日本企業で働くドイツ人が
憤り呆れ返った「休暇取得」闘争

「ほんの少しの休みを取るために、いつも戦っているんだ」と憤るのは、日本企業で働くドイツ人のBさん。自分の結婚式で5日間の休みを申請した際も、上司に「同僚は休んでいない」「チームはどうする」と言われて、呆れ返ったそうです。苦労して休暇を取得したものの、ハネムーンには苦い気持ちが残ったとこぼします。

 ドイツでは夏休みやクリスマス休暇などに2週間休むのは一般的です。バカンスが好きだとかの個人的な嗜好ではなく、休むことは制度として根付いているのです。

 EUは有給20日が標準ですが、ドイツは労働組合の力が強いこともあって有給30日が一般的です。有休は使い切るのが当たり前で、連続取得をとがめられるようなことは滅多にありません。

 日本でも勤続年数が長くなれば年間20日の有給休暇が取れます。しかしドイツのように2週間続けて休むのは、実際には難しい人が多いのではないでしょうか。

日曜は休まなければいけない
ベルリンで日本人が激怒された事件

 週末の過ごし方にも違いがあります。ドイツでは、日曜日はカフェやレストラン以外は基本的にほとんどの店が定休日です。なぜなら、「閉店法(Ladenschlussgesetz)」で定められているから。日曜は、スーパーはもちろん、シュペーティやキオスク(小さな商店)も休み。ちなみに、日本のような24時間営業のコンビニエンスストアはありません。

 ドイツに住み始めた日本人はたいてい「日曜日にやることがなくてさ……」と困ります。筆者の友人、ベルリンに住みはじめた日本人のCさんの話をしましょう。Cさんは日曜に、趣味のバイクいじりをしていました。エンジンをかけて大きな音が出た瞬間、遠くから誰かの叫び声が聞こえました。「Das ist zu laut! Hoer jetzt endlich auf!」(うるさい!今すぐやめろ!)