「いずれにも接触なし」とは、1週間を通して1度たりとも、リアルタイムでテレビを見ない、録画再生でも見ない、インターネットの見逃し配信でも見ない、YouTube上のテレビ局配信の動画も見ない、Huluでテレビドラマも見ない、インターネット上のテレビ番組表も見ない、テレビ局のSNS公式アカウントも見ない……ということを意味しています。

 そのような人がティーンエイジャーの約2割、20代では3割弱もいるということに、正直言って驚かされます。

若者から相手にされない
「テレビ」の頼みの綱は?

 もし私が、「いずれにも接触なし」の生活を送るとすれば、意識的にテレビ局のコンテンツを避けるようにしなければ無理でしょう。以前よりテレビを見なくなったとは言え、全く見ないわけではありません。

 意識的に避けないと、食事時に「うっかり」テレビをつけてしまったり、YouTube 動画を見ているときに、「間違って」テレビ局配信の動画を見てしまったりする可能性があります。「絶対にテレビ局のコンテンツに近寄らないようにしよう」と注意しながら1週間生活しないと、「いずれにも接触なし」のグループには入らないでしょう。

 しかし、今の若者の2~3割が、ごく普通にそのような生活を送っているのです。私としては、この結果はかなりの衝撃でした。もっとも彼らにしてみれば、これはごく自然なことであり、「そんなことで驚いているから、テレビは時代に取り残されるのだ」と言われてしまうのかもしれません。

 10代より20代の方が、非接触率が高めに出ていますが、私の推測では、これは親元で暮らしているかいないかが関係していると思います。10代の多くは家族と同居していますから、自分ではテレビを積極的に見ようと思わなくても、食事の時に家族が見ているものを一緒に見る、ということがあり得ます。一方で、親元を離れて1人暮らしを始めた20代はそのようなこともなく、「いずれにも接触なし」の生活になる人が増えるのではないでしょうか。

 リアルタイムの放送はもちろん、録画再生、ネットでの番組配信、テレビ番組表、テレビ局のSNS公式アカウントに至るまで、これだけ多彩にあるテレビ局のコンテンツに、1週間を通して1度も接触がないということは、少なくない数の若者が、テレビ局のコンテンツに「そっぽを向いている」ということです。