各年分の結果も調べましたが、コロナ禍で一時的に接触率が高まったことはあったものの、それ以降は下げ止まる気配がありません。

 以上のことを踏まえれば、「テレビをリアルタイムで見る人が減ったとしても、ネット上での視聴に移行しただけではないか」とは、とても言えないようです。

テレビ業界に危機的状況が迫る
20代の非接触率過半数超えも?

 そもそも、2022年の「週間接触者率92%」という数値は、「国民の92%はテレビを見ている」という意味ではありません。1週間のうちにたった1度だけ、ネット上のテレビ番組表を見ただけでも、「週間接触者率」にカウントされます。

「週間接触者率92%」とは、「1週間のうち、わずかでも放送局のコンテンツと接点がある人が92%いる」、という意味に過ぎません。ですから、実際にリアルタイム放送や、インターネット上で「テレビ番組」を視聴する人は、92%よりもかなり低い数値になるはずです。

「週間接触者率」は、このように極めて広い範囲を捕捉しているにもかかわらず、そこにさえ引っかからない人が、どの年代でも増え続けているのですから、テレビ離れは、確実に進んでいるといえます。このままのスピードでいけば、10年後くらいには「非接触率」が、今の倍くらいになっている可能性もあります。20代では過半数に達しているかもしれません。

 テレビ局の提供するコンテンツ・サービスに一切触れない人が、20代の過半数もいるとしたら、テレビ業界にとっては本当に深刻な事態です。いずれ、若い世代ではテレビを見る人がほとんどいなくなるのかもしれません。この調査結果を見て危機感を抱かないテレビ関係者は、いないのではないでしょうか。

 さらに、「究極のテレビ離れ」といってよい現象が、静かに進行しています。「テレビそのものを持たない人」が増えているのです。私の周りにも、「そもそもテレビを持っていない」という人がいます。これは、テレビ局にとってさらなる打撃となるはずです。