もっと踏み込んだ言い方をすれば、テレビは彼らに「相手にされていない」のです。

「いずれにも接触なし」の割合は、年代が上がるにつれ減る傾向にあります。30代では12%、40代では9%です。高齢者層になると、ごく少数となり、60代では4%、30代では70歳以上では3%しかいません。やはり、高齢者の強固な支持が、現在のテレビを支えていることが分かります。

「非接触率」は全世代で上昇し
中高年にもテレビ離れが広がる

 ただ、「いずれにも接触なし」の割合は、全世代で上昇を続けています。図1-7を見てください。これは、放送局の提供するコンテンツの「いずれにも接触なし」と答えた人の割合の推移を見たものです。2014年の段階では、13~19歳で10%、20代でも15%にとどまっていたものが、2022年にはそれぞれ、19%、27%まで上昇しています。

図1-7同書より 拡大画像表示

 また、30代以上の各年齢層でも、スピードは緩やかながら徐々に増えています。パーセンテージとしてはまだ大きくないものの、50代~70歳以上の年齢層では、「非接触率」が2倍から3倍になっていることが分かります。テレビ局のコンテンツに一切触れない、「完全なテレビ離れ」が中高年の間でもじわじわと広がってきているのです。

「テレビをリアルタイムで見る人が減ったとしても、ネット上での視聴に移行しただけではないか」という仮説も考えられます。しかし、この調査は、リアルタイム行為者率が減少したのと同じ時期に、テレビ局のコンテンツ・サービスに一切接触しない人が増えていることを示しています。