メンタルがすぐ回復する人と長引く人の“決定的な違い”
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メンタルを「コントロール」しようとしていませんか?
今日は、「メンタルを回復させる方法」についてお話ししたいと思います。
メンタルを回復させたいと考えている人は、おそらく「自分ではコントロールできないメンタル」のようなものが頭の中に存在していて、それをうまく扱いたいと考えているのではないでしょうか。
うまく扱える人は、自分の心やメンタルを上手に良い方向へ持っていける。そして、「私はそれがうまくできないから、メンタルが不調になる」「気分が落ち込み、やる気が起きず、なんとなく悲しい気分になる」…そう解釈しているのではないかと思います。
ですが、それがそもそも間違っていると私は思うのです。
心の状態は「お天気」のようなもの
精神的な状態というのは、理屈や気持ちの持ちようで、ある程度コントロールできなくはありません。しかし、一番大きい要素は「もう、そのもの」なのです。
何が言いたいかというと、心はお天気のようなものだということです。「今日は晴れていますね」「今日は曇っていますね」「今日は土砂降りですね」といったように、そういう自然な心の状態は、ただそこにあるだけなのです。
ですから、意図的に回復させようと思わなくても、心は勝手に回復します。結論から言うと、「何もしなくていい」というのが、正確な対策方法だと思うのです。
雨を無理に晴れさせようとしないのと同じ
例えば、お天気を考えてみてください。雨が降っている時に、「天気を回復させる方法」なんて調べないですよね。当たり前のことです。自分で「晴れさせよう」と思っても、せいぜいテルテル坊主を作るくらいしかできません。
それは皆わかっているから、天気が悪い時に、無理に晴れさせようとは考えないわけです。これは人間の心も一緒です。天気と同じ。それなのに、今気分が悪い時に「自分の気分だからなんとかなるはずだ」と思って、なんとかしようとしてしまう。
それが、そもそも間違っていると私は思っています。
大切なのは「回復させる方法」より「今の過ごし方」
多少はコントロールできるかもしれませんが、基本は「天気ほどコントロールできないもの」であり、自分がなんとかできる要素は思ったほど大きくないと私は考えています。
気持ちというのは、放っておいても勝手にどんどん変わっていきます。そうすると、大事なことは何でしょうか?
それは、気分が悪い時は「気分が悪い時の過ごし方」をするということです。気分を良くしようとするのではありません。お天気との付き合い方と一緒です。雨が降っている時に、外で走ろうとはあまり思いません。吹雪の時に、山に登ろうともあまり思いません。外がすごく寒いのに、海で泳ごうとも思いませんよね。
それと全く一緒です。雨の時は、雨の日の過ごし方があります。家でゴロゴロしたり、動画を見たり。出かけたいなら美術館や図書館で静かに過ごすのも良いかもしれません。とりあえず、無理に外には出ないことが多いはずです。
天気なら諦めるのに
心は「なんとかしよう」としてしまう
つまり、メンタルの調子が悪い時(天気が悪い時)は、無理に回復させようとしなくていいのです。放っておけば勝手に回復しますし、また悪くなったりもします。
それなのに、人間というのは不思議なもので、メンタルの調子が悪い、落ち込んでいる、やる気がない時ほど、「じゃあ、そういう(不調なりの)過ごし方をしよう」とあまり思わない人がなぜか多いのです。
「なんとか元気になりたい」「落ち込んでいるにもかかわらず、楽しく買い物をしたい」――なぜか自分の心に関しては、おかしなことを思ってしまいます。天気だったら諦めるのに、自分の心のことになると諦めない。
諦めないということは、期待をしているということです。期待をしているからしんどくなる。「本当はもっとこうありたい」という理想が、さらに自分を追い込み、心の悪天候をさらに長引かせているのです。
不調な時は、心が求める過ごし方を
ですから、もう「なんとかしよう」と思わなくていいのです。過ごし方としては、今、体調が悪い、メンタルの調子が悪いのであれば、そういう時の過ごし方をすればいいのです。
それは何かというと、「自分の今、心が求めているもの」「これならできそう」「これをやりたくない」――というのを素直に受け止めて、それに従って行動することです。
「今日は調子悪いな」と思ったら、ゴロゴロ転がっていていいと思います。「本当はこうしたかったけど…」というのは、もうやめましょう。「今日は精神的な状態があまり良くないから、ちょっとプラン変更」――そういうふうにしておけばいいのです。
なんとかしようとしない
メンタルを回復させる方法なんて考えない、わざわざ実践しなくても勝手に回復します。
下手に「なんとかしよう」とすることによって、「私は今落ち込んでいる」と自分にレッテルを貼ってしまい、余計に落ち込む期間を長引かせすることはあるかもしれません(これが天気とは違う点ですが)。ですから、受け身でいいのです。
「今は調子が悪い。これはもうどうにもならない。でも、そのうち変わるものとして、今の過ごし方を考えよう」
そういう風にしてあげると、要は「自分の機嫌との付き合い方」がわかってきます。なんとかしようとしないで、今の気分に応じた過ごし方を考えてみてください。そのやり方をマスターしたほうが、精神的に楽になれると思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








