なぜか不安が消えない…精神科医が指摘する「思考の癖」とは?
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【精神科医が教える】不安に襲われがちな人が無意識にやっているNG行動・ワースト1Photo: Adobe Stock

不安に襲われる原因は?

今日は「不安がスッーとなくなる方法」についてお話ししたいと思います。これさえやれば不安がなくなる、というよりも「これをやらなければ不安が増えますよ」という内容です。

まず、不安がなぜ出てくるのかを考えると、実は「あること」をしている時に不安は出てきます。

それは何かというと、「追っかける」ことです。考えを「追っかける」癖のある人、いわゆる「チェイサー」(お酒のチェイサーではありませんが)のように、思考を追いかける人は、その時に必ず不安がつきまとうのです。

「頭がお暇」な状態は危険

例えば、ぼーっとしている時に何かを思い出し、「あれはどうなんだろう」「あれはどうなったのかな」「これからどうなるんだろう」と、考えを追っかけ始めると不安が出てきます。私はこれを「頭がお暇」とも表現していますが、物事を追求し、追っかけ始めると、それに伴って必ず不安が生じるのです。

過去のことを追っかけ始めると、「後悔」「モヤモヤ」「自己嫌悪」につながります。そして、未来のこと、まだ起きていないことを追っかけ始めると、それが「不安」につながるのです。

結局、考え事を追っかけると、人はネガティブなことに行き着きやすいです。

対策①:「今」あるいは「今日1日」に集中する

不安を消したいなら、この「追っかけ癖」をやめるべきです。そのためには、考えがどこにも行かないこと、つまり「今に集中する」ことが大事です。これは仏教などでもよくいわれる、とても大事なコンセプトです。

例えば、今こうして私が喋っている間、喋ることだけに集中していると、不安は頭をもたげません。しかし、頭がお暇になって、「今度のプレゼン、大丈夫かな」「健康診断の結果はどうだろう」などと違うことを考え始めると、必ず不安になります。

ただ、「今に集中する」と言っても、本当の「今この瞬間(0秒)」だけを考えるのは哲学的で非常に難しい話になってしまいます。

心は意外と楽に回復していく

そこで、現実的に不安を減らすための「今」の幅として、私は「今日1日」くらいに設定するのが良いと思います。1時間後のことを考えても、その1時間後にはまた次の1時間のことを考えてしまいます。

「今日1日のことだけ考える」と決めるのです。そうすると、人間は結構強くなれますし、不安も起きにくくなります。

逆に、今日いろいろあって疲れた時、悩みがいっぱいある時でも、「もう今日は何も考えない。これからは遊ぶし、好きなことしかやらない」と決めてしまうと、心は意外と楽に回復していくものです。

対策②:「今日だけ」で済むようにスケジューリングする

とはいえ、「今日1日のことだけ考える」と言っても、例えば受験生の場合、先のことを考えざるを得ないのは当然です。

そこで2番目の方法として大事なのが「スケジューリング」です。「今日のことだけ考えていても、とんでもない問題が起きない」ように、あらかじめ物事の予定を組み、スケジュール帳にしっかり書いておくのです。

手帳を開けば「今日これとこれだけやればいい」ということが明確になっていて、「それさえしていれば、余計なことを考えなくても大事には至らない」という状態を作ります。そのように、しっかりとした予定を組む練習をしてみてください。

具体的な「行動」に落とし込む

私の場合であれば、「1週間後の講演会のスライドを2ページ作る」「今度出す本の原稿を10ページ書く」というところまで今日のスケジュールに落とし込みます。そうすれば、「このペースなら間に合う」と分かり、余計なことを追っかけずに済みます。

もし、「原稿は間に合うけど、発表がいつも不安だ」という別の要素が残っていると、結局「今度の発表、大丈夫かな」と追っかけてしまいます。ですから、それもスケジューリングするのです。

「3回練習すれば大丈夫」と思うなら、その3回の練習も「今日は1回目の練習をやる」とスケジュールに組み込みます。このように具体性を持って予定を立てると、考え事を追っかけなくても済むようになります。これは、考え事をするのではなく、なるべく「行動」に落とし込む、とも言えます。

「追っかけ癖」をやめましょう

いろいろとお話ししましたが、不安は「考えを追っかける」と出てきます。この「追っかけ癖」をやめましょう。

そのためには、「今」あるいは「今日1日」のことだけを考えましょう。それが難しい環境の人は、「今日1日のことさえやれば大丈夫」という状態になるよう、しっかり計画(スケジューリング)を立てるようにすることです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。