入浴で、寝はじめからの「最初の90分」の質を上げる

 ③の健康寿命とは、単に長生きするだけでなく認知能力も含めた心身の健康上の問題が
ない状態で日常生活を送れる期間のことです。

 睡眠時は、脳にとって重要な掃除の時間でもあります。寝ているあいだに、脳脊髄液によって老廃物が除去されるのです。その老廃物は、たまりすぎるとアルツハイマー病を引き起こすともいわれています。

 このように生活の質をとても左右する睡眠ですが、だれにも共通の理想の睡眠とはどんなものでしょうか。

 最近の研究で、睡眠時間は短すぎても長すぎてもいけなくて7時間ぐらいがちょうどいいとの報告もあるようですが、遺伝によってばらつきがあるため一概に時間で決めるのがベストとはいえないようです。

 では、質の高い睡眠をとるためには何を目安にすればよいかというと、とにかく寝はじめからの「最初の
90分」の質を上げる
ことなのです。この90分の睡眠の質がよければ、残りの睡眠も比例してよくなるのです。

 この最初の90分の質を高めるための鍵を握る一番大きな要素が「体温」です。

 体温には体の表面の「皮膚体温」と内部の「深部体温」がありますが、よい眠りにつくためには深部体温が覚醒時より下がる必要があるのです。

 体の内側の温度である深部体温は、まずは皮膚温度を上昇させて体の表面から放熱することによって下がりやすくなります。

 そのために効果的なのが「入浴」です。

眠る90分前に入浴を済ますのが理想Photo:PIXTA

 理想は眠る90分前に入浴を済ますことです。するとそこから徐々に深部体温も下がっていってスムーズに眠りに入ることができます。

 また入眠時にはゆっくりした呼吸をすることもあわせて試してみてください。これにより副交感神経を優位にすることで効果が倍増されるはずです。