集中力を高めたいなら、まず見直すべきは「睡眠」です。睡眠は脳の回復と記憶の整理を担う最重要の時間であり、その質が1日のパフォーマンスを左右します。話題の動画「50歳でも記憶力はアップ!加齢に勝てる脳トレ法」を公開した池田義博氏は、日本記憶力選手権大会で6回優勝。試験・資格・英語・ビジネスなど、あらゆる場面で結果を出すためのメソッドを紹介します。
※本稿は、著書「世界記憶力グランドマスターが教える脳にまかせる勉強法の一部を抜粋しました。

睡眠不足は集中力を著しく低下させる

 私が365日大事にしているのは、コンディションを左右する「睡眠」です。

睡眠の質が集中力を決めるPhoto:PIXTA

 私自身が睡眠を重要視する理由は次の3つです。

①集中力を補充する休息のため
②学習内容の記憶の定着を促すため
③健康寿命を延ばしたいため

 ①の休息については、感覚的に理解してもらえるのではないでしょうか。

 私も睡眠不足や眠りが浅いような質の悪い睡眠の次の日に、脳のパフォーマンスが落ちるのを経験したことが何回かあります。

 そのうちの1つは、ロンドンで行われた記憶力大会で時差ボケのまま競技に参加したときは、まさに頭の中にモヤがかかったような感じでした。

 この睡眠不足や質の悪い睡眠というのは本当に恐ろしく、この状態が続いている人は日中に何度も「マイクロスリープ」と呼ばれる状態に陥る可能性があります。

 これは数秒程度の短い睡眠のことですが、数秒とはいえ、自動車を運転しているときなどにこの症状がでたら事故につながる非常に危険な状態です。

 こんな状態になってしまったら集中力以前の問題です。

睡眠は、脳にとって重要な記憶整理の時間

 ②の記憶についてですが、睡眠中というのは、前の日に頭に入れた情報を記憶に残すためになくてはならない時間なのです。

 睡眠中に脳の中の記憶の司令塔である海馬が記憶の整理をしてくれているのです。この過程を経た情報が記憶として定着するので、徹夜の一夜漬けで勉強した内容などは次の日のテストが終わってしまえば、きれいさっぱりどこかへ行ってしまうのです。