「大企業じゃなくてベンチャーに就職したいんですけど、親に『絶対やめとけ』と言われます…」
『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、新卒で入るべきは大企業かベンチャーかについて著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
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ベンチャーが合う人は少数派である
大学生の就活の相談を受けていると、こんな声をよく聞きます。
「大企業じゃなくてベンチャーに就職したいんですけど、親に『絶対やめとけ』と言われます…」
「大手とベンチャー、どっちがいいですか?」
気持ちはすごく分かります。
選択を間違えたくないし、自分に何が合うのかなんて就活生の段階では分からないですよね。
ただ結論から言うと、僕のスタンスは明確です。
・ベンチャーが合う人は意外と少ない
・キャリアの自由度でいうと、新卒で大手企業に入るほうが転職しやすい
これが現実です。
もちろんベンチャーが悪いわけではありません。
ただ、ベンチャーが向く人よりも、向かない人の方が圧倒的に多いと考えています。
だからこそ、「新卒でベンチャーに就職するかどうか」は慎重に考えてほしいテーマです。
ベンチャーが合う人の特徴とは?
よく「ベンチャーは成長できる」と言われます。
それは本当です。僕も独立してから痛感しています。
ただし、それが機能するのは、変化が好きだったり、自分で考え動くことが苦じゃない人、指示待ちが嫌いで不確実性を楽しめる人…。
こういう性質や性格をを持った人です。
ここは誤解しないでほしいのですが、これらは優劣ではなく、ただの「向き不向き」です。
自覚はしていないけれど制度が整っている方が力を発揮できるという人もいて、そうした方々は大企業に向いています。
だからこそ、僕はよく次のように就活生に伝えます。
「ベンチャーは合う人にとって天国、合わない人にとっては地獄になりやすい」
ベンチャーは自由ではなく、責任が多い
ベンチャーと聞くと、次のようなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
「裁量が大きい」
「スピード感がある」
「若くても活躍できる」
でも、その裏側には、仕事を自分で作らなければいけなかったり、相談できる人が少なく、仕組みがないから手探りだったり、そして業績によってはボーナスが出ないこともしばしばあるなどの現実があります。
自由に見えるのは、「社員を守ってくれる仕組みがまだないから」という面もあるんですよね。
もちろんこのあたりはベンチャーの規模感や企業によっても異なりますが、特に会社の設立から数年のベンチャー企業ではこう言えるでしょう。
キャリアの面で考えると一社目は大企業がいい
次に、ここが一番大事な話です。
「新卒で大手→その後ベンチャー」
このルートは比較的選びやすいんですよね。
なぜなら、大企業で働いた実績が信頼になるからです。
逆に「新卒でベンチャー→大手へ転職」
このルートは難易度が高いです。
働いていた企業の認知度が低いことが多く、仕事内容が想像されにくいため、評価されづらいケースが多いのです。
つまり、キャリアの“逃げ道”というリスクヘッジをかけると、一社目に大企業に入る方が選択肢が広がりやすいと言えます。
ここは冷静に見ておくべきポイントです。
ベンチャーは「人」で選ぶべき
とはいえ、価値観は人それぞれです。
「挑戦環境に飛び込みたい」という気持ちが本物なら、それは素敵な選択です。
もしベンチャーに惹かれるなら、会社規模よりも絶対に見るべきものがあります。
“誰の下で働くか”です。
社長・上司の姿勢、仕事の向き合い方、価値観。ここが自分に合うかどうかで、幸福度と成長度は決まります。
ベンチャーの場合は、制度より人。ブランドより人。「人」で選ぶべきだと僕は考えています。
どの選択をしても、人生は続いていく
就活は、人生の“分岐点”ではあります。でも、そこで人生が決まるわけではありません。
大手に行っても、迷うことはある。ベンチャーに行っても、悩むことはあります。
大切なのは、“合う環境を見つけ続ける姿勢”なんですよね。
就活はスタート地点でしかありません。焦らず、比べすぎず、今の自分が納得できる選択をしていきましょう。
僕自身、カゴメに入って、辞めて、独立して、道を変えながら、自分の場所を作ってきました。
もし迷うときは、立ち止まっていい。キャリアは逃げません。
そして、ここまで読んでくれたあなたにひとつだけ。
「実績がない普通の人でも、ちゃんと戦える方法がある。」
これを信じられると、就活の景色はガラッと変わります。
そんな考え方を詰め込んだのが、拙書『脇役さんの就活攻略書』です。
迷った時は、肩の力を抜いて。一歩ずついきましょうね。








