「同じ業界の似たような会社」というのが世間の認識で、ナビサイトで発信されている情報にも大きな違いはありません。求職者が「比較しにくい」と嘆くのにも頷けます。
しかし、A社とB社は同じ業界でしのぎを削る大企業という点では共通するものの、細かな事業内容には大きな違いがあります。企業のスタイル(編集注/価値観や行動様式のこと)も、おそらく似て非なるものでしょう。
本来であれば、その“違い”を求職者にわかりやすく発信していく必要があるのに、残念ながらそれができていません。
これが、スペック訴求の弊害であり、陥りやすい典型的なワナであると、改めて痛感した出来事でした。
スペックでは見えない“価値観の体現の違い”こそが、現代の採用における重要な差別化ポイントなのです。
企業がアピールしたいことと
求職者が知りたい情報は異なる
会社視点の価値観だけでなく、社員としての個人視点の価値観も伝えていかないと、求職者の真の理解は得られません。
「実際にどういった仕事をしているかがわからない」
「いい会社なのはわかったけど、職場で働くイメージがわかない」
求職者からはこのような声がよく聞かれますが、これはその企業が社員不在の採用広報の手法をとってしまっていることの表れといえるでしょう。
スペックがほとんど変わらない企業同士の場合、その会社の雰囲気やカルチャー、そこで働く人の価値観やそれを表すエピソードといった“スタイル”が、差別化を図るポイントになります。この部分がわかりやすく言語化されていないと、自社に合う人は集まってきません。
自分がそこで働いている姿、やりがいを感じている様子をイメージできなければ、「この会社に入って働きたい!」という前向きな気持ちにはならないでしょう。
大企業が「投資総額○兆円のビッグプロジェクトに取り組みます」ということをアピールしていたら、「すごい会社だ」とみんなが思います。







