優秀の定義が曖昧なまま
優秀層を探す無謀な採用担当

 採用担当者の方へのヒアリングを行っていると、頻繁に耳にする言葉があります。

 それは、「優秀層」です。

 その企業のターゲットについて話を向けた際に、この言葉がよく返ってきます。正直、抽象的すぎる表現といわざるを得ませんし、解像度が粗い点も否めません。

 求職者に対して、企業が「優秀層を求めています」とストレートにアピールすることはありませんが、「求める人物像」という切り口で発信したり、「優秀層」という抽象的なターゲット設定のまま施策を詰めたりすることで、誰にも刺さらない情報になってしまうのです。

 一部の条件に合致する人はいるでしょうが、すべての条件を満たすスーパーマンのような人は、そう簡単に現れてくれません。

 優秀層というターゲットは、あまりにも非現実的なのです。それゆえに、求職者は他人事のように感じてしまいます。

「自分ではない別の誰かに向けた情報だな」
「多分、ほかの人にもまったく同じこといっているんだろうな」
「具体的なイメージがわかないので、ひとまずスルーしよう」
「この企業で活躍する人の具体的なイメージがわかない」

 これでは、スタイルマッチ(編集部注/ビジネスプランや雰囲気ではなく、価値観が一致した採用)が起こるわけがありません。

 実際に、No Companyが支援するある企業でも「優秀な人がほしい」というフワッとしたターゲット設定のまま採用広報を続けていた結果、応募が集まらず、現場とのズレが拡大していた事例がありました。

 そこで改めて、社内で活躍している社員のスタイルを分析したところ、特定の思考や判断のクセが浮かび上がり、ようやく「うちにフィットするのは、こういう人だ」という輪郭が明らかになりました。

 そして、優秀さを“能力の高さ”だけではなく“スタイルの一致”で定義した瞬間、訴求の焦点も行動も変わり、採用は大きく改善されていきました。

求人情報を出すべきメディアは
トレンドによって移り変わる

 採用市場における主要メディアの変遷や多様化について、ここで改めてその重要性を強調しておきます。