かつてはメディアトレンドというものを意識していなくても、企業が採用活動に困ることはありませんでした。トレンドが採用にあまり関係していなかったといってもいいでしょう。

 求職者はこぞって決まった時期に合同説明会に参加したり、マイナビやリクナビの情報をチェックしていたりしたからです。

 しかし現在は、新卒の就活生だけでなく、転職組も含め求職者はありとあらゆるメディアを使って情報収集をしています。

 企業にとっては、このトレンドを知らないことが命取りになります。

 これまでは、「何を発信するか」の重要性を説いてきましたが、その情報をどんなに精査し、磨き上げたとしても、「どこで発信するか」の答えを誤ったら、スタイルマッチが起こるどころか、そもそも求職者に出会うことができません。

 ミスマッチ以前の問題です。

 Z世代の求職者は、SNSや動画音声による情報発信が、できるだけカジュアルなフォーマットで行われることを求めています。

 今の時代に必要なのは、「リアリティ」「背景・プロセス」で伝わる、カジュアルで等身大の企業の価値観です。

 しかも、テレビや新聞だけでなくSNSが台頭した今の社会を見てわかるように、プラットフォームが変われば、求められるコンテンツも変わります。

 これは採用市場でも同様で、かつてのように、ひたすら企業説明会を行うだけであったり、ナビサイトや採用サイトだけを意識して、きれいに整理した情報だけを発信していたりしても、求職者には伝わりません。

 現代の採用は点ではなく、線と面と立体で見せるべきであり、スタイルを伝えるためには、メディアやコンテンツ設計も変える必要があります。

 そもそも求職者に出会うことができないという“究極のすれ違い”を回避するためにも、メディアトレンドを正確にキャッチし、時代や求職者のニーズに合わせた手段で情報を発信していかなければなりません。

 過去の常識は、捨て去りましょう。