長く座っていられない、お尻がじんわり痛む――。それは「坐骨神経痛」のはじまりかもしれません。痛み止めでごまかしても、体のゆがみを放っておけば、いずれ慢性化してしまいます。
そんなときに試してほしいのが、整体師や鍼灸師の技を自分でおこなうセルフケア「自力整体」。
全国で約1万5000人が実践し、「つらい慢性痛が消えた!」「ぐっすり眠れるようになった!」と話題です。
今回は、新刊『すっきり自力整体』から、坐骨神経痛をはじめ足腰の痛みを和らげるワークを紹介しましょう。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

座りっぱなしの人は、坐骨神経痛に気をつけて
長時間のデスクワークで、片方のお尻が痛くなる……。
映画館や長時間の移動で、座っているのがつらい……。
そんなときは、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)を疑ってみてください。
症状としては、腰やお尻の奥がズキズキ痛むほか、足がピリピリ・ジンジンとしびれることもあります。
長く座ったり、同じ姿勢を続けたりすると悪化しやすいのが特徴です。
痛みの多くは、「骨格のゆがみ」から生じます。
その原因をつくっているのが、じつは日常の“姿勢のクセ”。
とくに注意したいのは、「骨盤の後傾」と、「脚を組むなどして、片側のお尻にばかり体重をかけて座る姿勢」です。
骨盤が後ろに傾くと、椎間板が圧迫されて坐骨神経を刺激します。
また、片方のお尻だけに体重がかかる座り方を続けると、その側のお尻の筋肉がこわばり、そこを通る坐骨神経を圧迫してしまいます。
女性の場合は、出産による骨盤の仙腸関節(せんちょうかんせつ)のズレが関係していることも。
「出産から何年も経っているのに、ずっと坐骨神経痛がつらい」という声も少なくありません。
坐骨神経痛は、悪い姿勢や仙腸関節のズレなどによって、お尻の奥にある「梨状筋(りじょうきん)」が硬く縮み、その下を通る「坐骨神経」を圧迫することで起こります(図参照)。
この梨状筋をやさしくほぐすことで、痛みの元がスッと解けていきます。
自分でできる整体「梨状筋ほぐし」のワーク
おすすめは、新刊『すっきり自力整体』で紹介している「梨状筋ほぐし」のワーク(後半で紹介)。
痛みの原因となる筋肉のこわばりをゆるめ、坐骨神経への圧迫をやさしく解放します。
血液やリンパの流れもスムーズになり、滞っていた“めぐり”が一瞬で整います。
とても簡単で、タオル一本あれば寝たままでできるのも魅力です。
実践は画像を見ながらおこないましょう(※ワークは書籍『すっきり自力整体』より抜粋)。


◎「梨状筋ほぐし」のワーク
【手順1】
◆あおむけになって、タオルを左足裏にかける
そのまま脚をゆっくり上げていきましょう。
POINT:足裏は天井と平行に。ひざ裏を軽く伸ばして、脚の後ろの伸びを感じて
【手順2】
◆足先を顔に引き寄せる
左ひざを床に近づけるようにして、呼吸を止めずに
【手順3】
◆左足の側面を右もものつけ根におろし、左ひざをゆっくり開く
股関節・もも・ひざの伸びを感じながら、深呼吸
【手順4】
◆反対側も同様におこなう
※硬い側は少し長めにおこなう
時間に余裕があれば、『すっきり自力整体』に掲載の動画付き「20分ショートレッスン」もおすすめです。全身をまんべんなくゆるめ、痛みを根本から緩和します。
※『すっきり自力整体』では、このほかにも、整体プロの技法を応用したメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。






