「言いたいことがあるなら言え」と言われても、言えない
ぼくには、話を聞いてもらえずに苦しんだ時期がありました。
若手の頃、上司に相談を持ち掛けると「で? 何が言いたい?」「自分の考えをはっきり言え」と言われてしまう経験が多かったです。ぼくが頭を整理していない段階で相談してしまうので、上司もイライラしてしまうのでしょう。
また、週に1度、その上司との面談があり、ぼくが抱えていた「悩み」を相談する場が設定されていました。ですが、その場で何を相談していいのかわかりません。
当時のぼくは「『自分で何がわからないか』がわからない」という状態でした。そんなときに、「話してみて」と言われても、何も言えないんです。
傾聴は、単に聞くだけではありません。
じつは傾聴とは、「相手の頭の中を代わりに言語化してあげること」なんです。
そう考えると、よく言われる傾聴のテクニックでは不足していることに気づきます。
「黙って最後まで話を聞けばいい」、「共感の言葉をかけよう」と言われますが、これは先ほどの①と②ができていなければそもそも無意味です。
また、「傾聴するときには、アドバイスをしてはいけない」のも、①・②ができている人に対してのみ当てはまります。
傾聴とは、単に受け身で聞いていればいいのではなく、相手が自分の頭を整理できるように、言語化のサポートをしてあげることなんです。
相手のモヤモヤを言葉にして引き出してあげる言語化スキル
人は誰しも、自分の感情や考えを完璧に言語化できるわけではありません。
特に、深い悩みや複雑な感情ほど、言葉にするのは難しいものです。「なんか違うんだよな」「うまく言えないけど……」こんな言葉を、ぼくらも日常的に口にしていますよね。
相手がうまく言えない、そもそもまとめられない感情や考えを、あなたがサポートしてまとめてあげることが大事です。
とはいえ、相手自身がよくわかっていない内容を、「他人」であるあなたがまとめることはできません。どうすればいいのか?



