会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

1on1が「業務進捗の確認のみ」になっていませんか?
最近、1on1ミーティングを導入する企業が増えています。しかし同時に「1on1をやってはいるけど、うまくいっていない」という声もたくさん聞こえてきます。
実際、ぼくが言語化プログラムの研修で関わっている企業さんでも、多くのリーダーが1on1の場で何を話せばいいのかわからず、「今月の達成率はどう?」「ノルマ、いける?」という単純な数字確認で終わっているように感じます。
正直に言って、これではリーダー失格です。
というのは、ノルマの達成率を聞くだけなら1on1をやる意味はありませんし、数字を確認したところで、メンバーの行動は何も変わらないからです。
「今月70%しか達成できていません」
「なるほど、あと30%をなんとか頑張って」
こんな会話がたくさんされています。でも、このあとメンバーは何をどう頑張ればいいのでしょうか? 単に「頑張れ」と言われても、具体的に何をすればいいのかわかりません。
できるリーダーは「具体的なアクション」を聞く
できるリーダーは、1on1でノルマ達成率ではなく「具体的なアクション」を聞きます。
「今月達成率70%だけど、残りの30%を達成するために、具体的に何をしていこうか?」
と導きます。ただ、この問いかけに対して、メンバーが「もっと頑張ります」と答えたら、さらに聞かなければいけません。「頑張る」は行動ではなく、気持ちの表明に過ぎないからです。リーダーは「行動」を引き出さなければいけません。
そのために、たとえば営業成績が足りないメンバーに対しては、「そのために、何をする?」を3回繰り返し、具体的なアクションを引き出していきます。
「もっと頑張ります」→「具体的に何をする?」
「新規開拓に力を入れます」→「新規開拓のために、何をする?」
「リストアップした見込み客100社に電話をかけます」→「電話で何を伝える? どんな切り口で話す?」
このように問いかけを重ねることで、メンバーの頭の中が整理され、具体的な行動計画に変えることができます(実際には、この質問だけ矢継ぎ早に投げかけるのではなく、会話の中で聞いていきましょう)。