『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、面接で話すことをChatGPTに考えてもらった就活生の末路について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
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AIがあるから就活は楽勝…本当にそうなのか
最近、就活生から「ChatGPTを使えば就活なんて余裕ですよね?」という声を聞くようになりました。エントリーシートの文章も、面接で話す内容も、企業研究の整理も、ほとんどAIで代替できる。だからこそ、就活も楽になる時代なんじゃないかと。
たしかに、ChatGPTをはじめとするAIは強力です。文章を整えること、思考を補助すること、情報を整理すること。この点では、間違いなく就活生の助けになります。
僕自身、就活生のときにこんなツールがあれば、もっと楽だったと思います。
しかし、AIが力を発揮するのは、あくまで就活生が「自分の考え」を持っているときだけなんですよね。AIは“思考の肩代わり”ではなく、“思考の補助”に過ぎません。
自分の価値観が曖昧なままAIに文章を作らせれば、それは誰の言葉でもない、魂のない文章になります。就活で求められているのは、言葉の上手さそのものではなく、その言葉の「背景」にある人格や考え方です。
面接で話す内容をChatGPTに考えてもらっても…
面接官は人間です。だからこそ、表面的な言葉の巧さよりも、話している中で感じる「その人らしさ」を見ています。話の一貫性、質問への反応速度、深掘りに対する理解の速さ。
これらは、単なる暗記では通用しません。
仮にChatGPTで完璧な面接の回答を作れても、面接で同じ熱量や思考の深さを説明できなければ、すぐに中身の薄さが露呈します。
企業が見ているのは「正しい答え」ではなく「一緒に働きたいか」です。そこに人間らしさや素直さがあるか。価値観が合うか。これらはAIでは代替できません。
AIが本当に強みになる使い方
では、AIは使うべきではないのでしょうか。
そんなことはありません。むしろ、正しく使えば力強い味方になります。
ポイントは、AIに答えを作らせるのではなく、自分の思考を整理する「壁打ち相手」として使うことです。
自分の過去の経験や考えを言語化し、それに対して質問してもらってください。気づいていなかった強みが見つかることがあります。
就活は、自分を飾る競技ではなく、自分を理解し、自分自身を事細かに言葉にする競技です。
AIがある時代だからこそ、「自分で考える姿勢」がより価値を持つようになっています。その“土台”がある人は、AIを使いこなすことで、誰よりも成長できます。
脇役だからこそ、AI時代に輝ける
拙書『脇役さんの就活攻略書』では、「素直に考え、自分の言葉で話せる人こそ評価される」というメッセージを込めました。
派手な実績よりも、考え方と言葉の誠実さ。まさにAI時代の就活で必要なのは、この土台だと感じます。
AIで整えられた“きれいな回答”よりも、自分の頭で考えた“少し不器用だけど本音の言葉”の方が、人の心を動かします。
陰ながら、あなたの挑戦を応援しています。








