若い世代が熱狂“次期ニューヨーク市長”が掲げる「家賃値上げ凍結」政策の落とし穴とは?【池上彰・増田ユリヤ】2025年11月4日の米ニューヨーク市長選挙で当選した、民主党の急進左派、ゾーラン・マムダニ・ニューヨーク州下院議員。写真は25年6月24日、ニューヨーク市で開催された選挙集会で演説するマムダニ氏 Photo:AFP=JIJI

イスラム教徒の
ニューヨーク市長が誕生

増田 米ニューヨーク市長選挙で歴史的な結果が出ました。2025年11月4日に投開票が行われ、選挙戦中盤から優勢が伝えられていた、ウガンダ生まれのイスラム教徒であるゾーラン・マムダニ候補が勝利を収めました。

池上 英ロンドンに続いてニューヨークでも初のイスラム教徒の市長が誕生したことになりますね。

増田 1991年生まれのマムダニ氏の父はインド生まれウガンダ育ちの学者。母はインド生まれで19歳のときに米ハーバード大学に転入した映画監督で、マムダニ氏も7歳で米国に移住し、ボウディン大学でアフリカ研究の学士号を取得しています。

 大学卒業後は住宅差し押さえ防止のためのカウンセラーとして、主に有色人種の低所得者への支援活動を行ってきました。今年2月に結婚した相手はシリア系米国人です。

民主党のマムダニ氏支援の
動きが鈍かった理由

池上 20年の州議会選挙に勝利してニューヨーク州議会議員となり、24年まで2度の再選を重ねてきました。24年10月にもニューヨーク市長選に立候補を表明しましたが、政策が社会主義的過ぎているという理由で、民主党幹部からの支持を得られず。

 25年6月の党内の予備選挙にも勝利しているのですが、民主党トップのハキーム・ジェフリーズ下院院内総務がマムダニ氏の支持を表明したのは、実に10月25日のこと。期日前投票が始まる直前で、その後も党を挙げて支援する動きは見せないままでした。