さらに言えば両社の融合に成功すれば、首都圏では西友のサプライチェーンを活用できる。この3点セットがそろったらトライアルGOはまいばすけっと以上のコンビニキラーになる可能性があるのです。

 ではセブン、ファミマ、ローソンの株主は、そうならないように必死にトライアルの失敗を祈ればいいのでしょうか?

 実はコンビニの危機はそれだけではありません。今回のトライアルの上陸によって、イオンも「そのやり方がある」ということに気づいたのです。

 私事の話をします。経済評論家の日常では、生活圏内を日々散歩しながら観察をしています。いろいろなお店で商品を買い比べているのですが、実は家からはちょっと遠い西新宿にあるイオンフードスタイル(旧ダイエー)の弁当や総菜が近隣では一番おいしいことに気づいています。

 この店舗、実は発想を変えると私の生活圏内にあるまいばすけっと7店舗の基幹店になりえます。もし西新宿のイオンフードスタイルの厨房で作られた弁当やおにぎりがこれらの店舗に配送されるようになったとしたら、私はたぶんセブンではなくまいばすけっとで弁当を買うように生活行動が変わるでしょう。

 コンビニという業態は高い利益率で時価総額を伸ばしてきた業態です。一方のスーパーは実のところ利益率をコンビニほど重要視していません。利益が出たらその利益を顧客に価格で還元することで、利益率ではなく成長率で勝負をする業態です。その違いから、ミニスーパー戦略は、消費者がお得感を抱きやすく、構造的にコンビニキラーになりやすいのです。

 要するにトライアルGOは首都圏のスーパーにとっての「パンドラの箱」を開けてしまったのだと私はとらえています。トライアルが成功する確率は5割だと思います。しかし、それがうまくいくかいかないかにかかわらず、大都市圏ではミニスーパーが中食で盛り返すことで、コンビニが急速に競争力を落とす未来がちらちらと見えはじめてきました。