写真はイメージです Photo:JIJI
翻訳精度の高さで業界をけん引してきたDeepLが、次なる一手として「同時通訳」機能の公開を予告した。単なるリアルタイム翻訳とは何が違うのか。デモ動画からは、文脈を先読みして訳文を生成する、これまでにないアプローチも垣間見えた。その仕組みと可能性を探る。(フリーライター 武藤弘樹)
翻訳ソフトは何を使う?
自然な言い回しがベストだが…
DeepL翻訳とは、ドイツのDeepLという企業が運営する翻訳サービスである。同社は今月初旬、現在開発中の同時通訳ソフトを近日公開すると発表した。そのソフトの基礎的な部分を垣間見せた同社のイベントのデモでは、ドイツ語を数秒遅れで英語に、話者の声色に近づけて変換した、とのことである。
実はDeepL翻訳にはかねてから世話になっていた。英語学習や、業務上ややこしい英語の翻訳または日本語の英訳が必要なとき、DeepLは実に自然な言い回しで文章を仕上げてくれる。英語と日本語では文法体系が大きく違うはずで、NiftyやGoogleの翻訳はちょっと歯がゆいのに、DeepLはうまくやってのけるのである。
ただ、現代だと「同時通訳」はDeepLに限らずともすでに実現しているといえそうではある。翻訳アプリを活用して2言語間のやり取りを想定しよう。
「話す→アプリがそれを聞き取って外国語に変換→相手が訳文を聞く・読む→相手が話す……」という一連のフェーズが、数秒単位とかあまり大きなストレスなく進行していく。
これを同時通訳と呼んでいいなら、翻訳アプリを起動したスマホを片手にやってもいいし、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスを介してやれば手ぶらで「同時通訳」が成し遂げられて近未来感が一層増す。
しかしこの度DeepLに目論まれている「同時通訳」はそれをもう一段階推し進めたものらしかった。一体どのようなものか。順を追って解説していく。







