他社の人と組んだ途端、仕事が急にギクシャクする――。一方で、社外との仕事において驚くほど評判が良い人たちがいます。その違いを生むのは能力でも相性でもなく、プロジェクト開始前に“ある準備”をしているかどうかです。それは、「進め方の型」を決めること。そうしないと、どれだけ優秀なメンバーが集まっても、すれ違いが起き、チームは必ずトラブルになるのです。
では、いったい何を決めておけばいいのか? 本記事では、400以上のチームを支援してきた組織開発の専門家が、「誰とでもうまく仕事を進められる人」がやっていることをまとめた書籍『チームプレーの天才』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)から、そのコツを紹介します。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

社外で「なぜか評価される人」が他社との仕事で必ずやっている“たった1つの準備”Photo: Adobe Stock

プロジェクトで「最初に」決めておきたいこと

 所属組織や背景が異なる人たちと組んで活動するとき、フレームワークなき活動は何かと危険です。
 リーダーの属人的なやり方や、メンバー各人のやり方でものごとが進むことになり、噛み合わない、わかり合えない、引き継げないなどのトラブルが発生します。

・コミュニケーションの仕方や手段
・プロジェクトの進め方
・意思決定の仕方

 最低限これらについては、チームプレーを始めるにあたって「型」を決めておきましょう。

 汎用的なものを活用するのでも、自分たちで独自に作って合意したフレームワークを用いるのでもいいでしょう。
 たとえばプロジェクトマネジメントのフレームワークであれば、PMBOK(R)などが代表例として挙げられます。

見落としがちな「気遣い」

 複数の企業間や地域間の共創でものごとを進める場合は、自社のやり方や用語が自分たちの業界や地域独自のローカルルールや「方言」ではないかどうか疑う姿勢も必要です。
 その上で、間違っても自分たちの常識を相手に一方的に押し付けたり、相手を「非常識な人」扱いしたりしないように注意してください。共創関係で進める上での鉄則です。

 意外と見落としがちなのが、コミュニケーションの「手段」への気遣い。
 自社にとって使い勝手の良い、もしくはデフォルトになっている手段を社外の関係者にも強制してしまい、うまくいかないことがあります。

 対面はもちろん、電話やメールを中心としたコミュニケーションも、時間や場所の制約がある人たちの心地よい参画を妨げる可能性があります。
 個々人の事情も踏まえ、その活動やプロジェクトを進める上でのコミュニケーション手段を決めておきましょう。

オンラインツールは慎重に活用する

 Slack、Discord、Facebookメッセンジャーなど、オンラインかつグループでやり取りできるツールも駆使したいところ。
 メンバー全員で資料やスケジュールの共有・管理が発生しそうな場合は、Googleの各種サービスやBoxなどを活用するのもいいでしょう。

 ただし、Facebookは本人のプライベート情報と密連携になり、かつAIの誤動作により突然アカウントが停止されるなどのトラブルも散見されるため、プライベートと仕事を切り離したいと考えるメンバーには不向きでしょう。
 プライベートと完全に切り離して活用しやすいツールを選ぶ配慮もお忘れなく。

 その活動やプロジェクト、およびそれぞれのツールの特性を踏まえて、コミュニケーション手段を選択し切り替えていきましょう。

(本稿は、書籍『チームプレーの天才』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、他者との仕事をラクにする具体的な93の技術を紹介しています)