【解説】孤独な決断の連続を癒やす「絶対的な味方」
デイトレードは、常に自己責任で決断を下し続ける、極めて孤独でストレスフルな作業です。相場は時に理不尽で、こちらの事情などお構いなしに動きますが、ペットは違います。
無条件に懐き、愛情を求めてくるピーちゃんの存在は、シゲルさんの荒ぶる神経を鎮め、メンタルのベースラインを正常に戻す「精神的なアンカー(錨)」の役割を果たしていると言えます。
孤独な投資家にとって、損得勘定抜きの関係性を持つことは、心の均衡を保つ上で非常に重要です。
強制的に思考を切り替える「生きたアラート」
前場の引け(ランチタイム)をピーちゃんが知らせてくれるという点は、実は実務的にも大きなメリットがあります。
多くのトレーダーは、休憩時間中も相場のことが頭から離れず、脳を休められない傾向にあります。しかし、生き物の世話という「待ったなしのタスク」が入ることで、強制的に相場から思考を切り離すことができます。この「脳の完全なクールダウン」があるからこそ、後場も高い集中力を維持できるのでしょう。
複雑さを排した「一貫性」の美学
7代にわたり全員に「ピーちゃん」と名付けるエピソードには、著者の投資哲学が凝縮されているように思えます。
新しい名前(新しい手法や流行)を追い求めるのではなく、目の前の存在(本質)を愛でる。「自分にとって心地よいスタイルを変えない」というこの一貫性こそが、迷いのない判断を生み、長きにわたり相場の世界で生き残るための秘訣なのかもしれません。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。










