
ワインでチアー。ヘブン、県知事宅に招かれる
平太はさらにウグイス情報を語る。ウグイスは一夫多妻制だと。
「妻がいるのに日本に来て遊んでる」とヘブンをウグイスにたとえて日本語で嫌味を言う平太。
日本語ははっきりわからないながら、自分を悪く言っていることには気づいたヘブンは怒りだす。
そもそも、写真のイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)は妻ではないのに、とんだ風評被害である。
平太はなにかとヘブンに意地悪しているように見える。演じている生瀬勝久はこう考えている。
「平太は“異人さん”に慣れていないから、ヘブン先生のことは本当に怖いと思っているはず。外国人が来たら当時の日本人はどうなっていたかという典型です。僕のイメージですけど日本人って表情で相手をイライラさせないように愛想笑いするし、感情をストレートに出すことってなかなかないじゃないですか。でもヘブン先生はストレートに感情をぶつけてくるから、『なんだよ〜!こっちは笑顔で接しているのに!』と思うんじゃないですかね。そんなすれ違いもあって、なかなか分かり合えないのだと思います」(『ばけばけ』公式コメントより)
ヘブンの愛想のなさが問題のようだ。
そこへ、梶谷(岩崎う大)がやって来て、もっとけんかしろと煽る。
けんかの火種となった鳥が、県知事の娘から贈られたものだとトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)から聞いた梶谷は「色恋沙汰」かと、がぜん興味を示す。
そしてここで彼は耳寄りな情報をもたらす。
この鳥はウグイスではなくメジロだと言うのだ。賢明な視聴者は、なんか違うと思っていただろう。令和のいまならネットで検索すればすぐわかる。でも明治時代はまだ、調べる術が少なかった。
ツルは「ほら」だと決めつけるが、梶谷もたまにはまともなことを言うようだ。一応新聞記者だし。
タイトルバック明けは江藤県知事(佐野史郎)の家にヘブンが招かれて豪華な夕食を振る舞われている。錦織(吉沢亮)も一緒だ。
ワインで乾杯。乾杯は「チアーズ」で「チェア」にも似ている。たぶん、似た言葉を選んでいる。
夕食(洋食)はリヨの手作り。
「日本大好き、松江大好き」とヘブンはご機嫌。食事も会話も進むが、江藤は英語がわからない。錦織がかいつまんで訳すと、「もっとしゃべっていたじゃないか」と知事は不満そう。これ、翻訳あるあるだと思う。英語は言葉数が多いのだが、日本語で概要だけ訳すとごく短くなって、もっと話しているのではないかという気持ちになる。平太がヘブンのことがわからなくて、怖いと思うのと同じく、言葉がわからないことは不安なものだ。
英語がわからないことで疎外感を覚えているであろう江藤。彼はここで娘がヘブンにウグイス(メジロ)を贈ったことをはじめて知る。しかもそれが島根や松江のためではないと聞いて、ますます不安に……。







