「ウグイスがメジロなら私もメジロなんだろうか」

 リヨはヘブンに本気で夢中の様子。

 だが、任期を終えたらヘブンは帰るのだ。それに万が一、結婚ともなると、いろいろ問題がある。諦めろと江藤は説得するが、「私は本気です」とリヨは頑として聞かない。

 江藤は後日、錦織を呼び出し、ヘブンとリヨが恋仲にならないようになんとかしろと頼む。

「好いたところで明るい未来がない」

 ヘブンとは1年契約。更新しなかったら松江どころか日本にはいられないということは、更新しないつもりなのだろうか。

「ヘブン先生は1年で帰られてしまうんだなと」としんみりする錦織。だいぶ情がわいている様子だ。

 県知事宅での夕食のあと酔って帰ってきたヘブンは「ウグイスがメジロなら私もメジロなんだろうか」と謎の言葉を発していた。

 これはどういう意味なのだろうか。自分は偽物だという意味だろうか。なにしろ、教師ではなくジャーナリストだから。

 でもすぐにふとんが天国と言って寝てしまう。のんきな人である。

 さて、ここで、第42回の前半で謎の主張をしていた平太を演じる生瀬勝久のコメントを紹介しよう。

――ご出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

 またお話をいただけてありがたかったです。前回出演した『ブギウギ』では、標準語の役(タナケン・棚橋健二)だったんですよ。だから今度こそ関西ことばなのかなと期待していたら、出雲ことばでした(笑)。兵庫県出身なのでなじみがある関西ことばだといろいろ融通が利くんですけどね。出雲ことばはもう本当に難しくてとても苦労しています。外国語のように丸暗記しないといけなくて。

――演じられる花田平太さんはどんな人物でしょうか?

 花田旅館はそんなに大きなお宿でもないし、見ている方にとって平太は等身大の人物じゃないかな。ツルを演じる池谷のぶえさんと夫婦役というのが心強いし、やっていて楽しいです。共演が多いのでなにをやっても応えてくれる信頼感がありますね。夫婦のシーンが豊かになる、本当にすてきな俳優さんです。

 平太は“異人さん”に慣れていないから、ヘブン先生のことは本当に怖いと思っているはず。外国人が来たら当時の日本人はどうなっていたかという典型です。僕のイメージですけど日本人って表情で相手をイライラさせないように愛想笑いするし、感情をストレートに出すことってなかなかないじゃないですか。でもヘブン先生はストレートに感情をぶつけてくるから、「なんだよ〜!こっちは笑顔で接しているのに!」と思うんじゃないですかね。そんなすれ違いもあって、なかなか分かり合えないのだと思います。

 トキのことは働き者の明るい子だと思っているでしょう。ただ、お父さん(司之介)がちょっと変わっていて、お母さん(フミ)も一癖も二癖もありそう…。もしかしたら、実の父より平太の方が優しいかもしれませんね。

――「ばけばけ」の現場で印象的だったことを教えてください。

 最初は「ちょっと暗くないですか!?」と思いました。セットの家に天井をつけているんですよね。非常に思い切ったなと思いますけど、そのこだわりがオンエアの時にどう見えてくるのか僕も興味深いです。昔は電気がないから、変にクリアに見えてしまうよりきっとリアルなんじゃないかな。それに、画面は暗めでも出ている人が明るいからいいんじゃないかと思っています。

――視聴者の方々に作品の見どころとメッセージをお願いします。

 15分なのに見応えがあって、でも食い足りなくて、また明日も見るという朝ドラはやっぱり独特な作品です。単調にならないように僕らもみんなで一生懸命頑張って作っていますので、皆さんもぜひ半年間見届けてみてください。何か結果が出ますから(笑)! 花田旅館が『ばけばけ』の一服の清涼剤になればいいなと思います。

 いや、ほんとうに、花田夫婦とウメは一服の清涼剤になっている。これからも盛り上げていってほしい。

なぜ花田旅館の主人・平太は「ヘブン先生にイジワル」するのか?生瀬勝久が考える“わかり合えない理由”〈生瀬コメント付き・ばけばけ第42回〉
なぜ花田旅館の主人・平太は「ヘブン先生にイジワル」するのか?生瀬勝久が考える“わかり合えない理由”〈生瀬コメント付き・ばけばけ第42回〉