「実家の近くにクマが出た」→「引っ越せばいいのに」無神経な発言した同僚をスルーする?注意する?写真はイメージです Photo:PIXTA

大人の日々は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめるトクな道を探りましょう。
※「お悩み」は編集部で作成した架空のモデルケースです。

今回の「お悩み」

 会社で同僚Aが「実家の近くにクマが出て、両親が外に出られないと怖がっている」という話をした。

 それを聞いた別の同僚Bが「そんな怖いところによく住んでるね。さっさと引っ越せばいいのに」と言っている。

 あまりにも無神経な暴言で、横で聞いていて腹立たしい。Aは「そうは言ってもね」と苦笑いしている。

 スルーするか、口を出すか、さてどっち?

選択のポイント

 世の中には「悪気なく無神経なことを言う人」が、けっこういます。危険な状況だからといって、そう簡単に引っ越すわけにはいきません。「そんな怖いところによく住んでるね」という発言も、長く住んでいるご両親やそこで生まれ育った同僚に対して、かなり失礼です。

 ただ、言われた当人のAが苦笑いで済まそうとしているのに、怒りに任せて横から口を出すべきかどうかは微妙なところ。少なくとも「おい、無神経なことを言うな。こいつに謝れ!」と、代わりに謝罪を要求するのはやり過ぎです。

 余計な波風を立てないために、黙ってスルーするという選択肢もあるでしょう。しかし、言われたAは、内心「ひどいこと言うなあ」と静かに怒りを覚えているかもしれません。何も言わないと、こっちも同じように考えていると誤解されるリスクもあります。

 そういったリスクをつぶしておくためにも、怒りを溜め込んで言ったBを必要以上に嫌いにならないためにも、ここは口を出しておくのがオススメ。

 まずは「そうはいかないよね」ぐらいの言い方で、被害者側の同僚Aに味方する姿勢を示します。その上で「家の近くに出てくるのは怖いだろうな。息子としても心配だね」などと心情をおもんばかりましょう。

 ただし、駆除の態勢はどうなっているのかや、近隣でほかに被害が出ていないかなど、地域のクマ情報を根掘り葉掘り聞くのはやりすぎです。今のところ「無事を祈る」以上のことはなかなかできない息子に対して、それこそ無神経な仕打ちに他なりません。

石原壮一郎・コラムニストのプロフィール